天国と地獄

今日で一週間が経過した。
コロナ陽性者の療養期間は今や5日や7日となっているが、老人が集う老人ホームでは、そうは行かない。

あと3日で療養期間10日となる。これは5類だの2類だのは関係ない。依然として警戒すべき病だからだ。

ところが、ワクチン効果もあり軽症で済む人が多くなって来た。人類はワクチンで生き延びて来たとも言える。
色んな説があたかも宗教のように飛び交ってはいるものの、大勢死んでから自然に免疫をつけろというのは、今自分が生きている理由を知らない者、あるいは誰も愛していないもの。もしくは自分だけが大事な人。

話は逸れたが、あと3日だ。

偽痛風の人や蜂窩織炎の発熱者の方が居て、度々肝を増やすが、今のところコロナの感染者は増えていない。コロナ以外なら3日で治る発熱者ばかり。

ただ職員が疲弊しているのは否めない。

そんな中、日々、利用者さんたちが笑わせてくれる。

隔離されているドアや窓ガラスの向こうで踊って見せてくれたり、両手で×を交互に作り『出てはダメダメ。ダメダメよ♪』と変顔をして見せてくれるのだ。

だから、どんなに面倒で疲れ切っていてもガウンを着けて、窒息しそうなN９５マスクをつけて中に入る。飲み物や音楽を届けに。

それぞれのADLで、身体を清拭したり、下着を履き替えて貰ったり、ポータブルトイレの掃除をしたり、オムツ交換をしたり、必要な薬を飲んだり。

皆、笑顔なので、一瞬、ここは天国か？と思ってしまう。

辛い想いをさせているはずなのに、何故に皆こんなに優しいのか？ご家族様とのZoom面会もしたが、ご家族様も何故にこんなに「ありがとうございます！」と言ってくれるのか？

私は決めた。絶対に恩返しをするんだ。