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高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第3回)概要

情報教育支援プラットフォーム ELDI(エルディ) 事務局員の寺西です。

文部科学省が設ける中央教育審議会内の分科会として、初等中等教育分科会があります。
本分科会の令和4年1月14日決定事項として、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会が設置され、令和の日本型学校教育の構築に向けた具体的な議論が進められることになっており、その一つとして、令和4年10月3日特別部会決定として、高等学校教育の在り方ワーキンググループが設置されました。
次期学習指導要領も含め、今後の高校教育の在り方そのものを方向づける、大変重要な位置づけのワーキンググループです

令和4年12月12日、第3回ワーキンググループが開催されました。

※第2回概要については本noteで以前記載したこちらをご参照ください。

議題は「全日制・定時制・通信制の望ましい在り方について」。

まず、事務局より「全日制・定時制・通信制の望ましい在り方について(論点例)」が資料として提出されました。
論点例は下記の通りです。

○全日制課程や定時制課程において、多様な課題を抱える生徒を受け入れ、多様な学びを提供していくための方策として、どのような取組がより一層必要と考えられるか。

○通信制課程が多様な課題を抱える生徒の学びのセーフティネットとしての機能を維持しつつ、生徒の社会性を育むための方策として、どのような取組がより一層必要と考えられるか。また、私立の広域通信制高校については先日の調査研究協力者会議の審議まとめを踏まえ、引き続き質確保・向上を図っていくことが必要であるが、 公立の通信制高校の魅力向上・機能強化に向けては、今後どのような方策を講じるべきか。

○生徒が地理的状況や各学校・課程の枠に関わらず、多様な学びを受けられるようにするための方策として、例えば学校間連携や課程間併修を推進することが考えられるが、そのためにどのような取組が必要と考えられるか。

○その他、全日制・定時制・通信制の望ましい在り方について、どのように考えるか。

加えて、太平洋学園高等学校(高知県)、東京都立世田谷泉高等学校から発表がありました。
資料や発表の内容は概ね下記の通りです。

(太平洋高等学校)
○平成15年以降入学者は増え、退学者は減っている。
○生徒の人数はMAXで年度途中の受け入れは難しい。
○特別支援教育に力を入れている。発達障害の診断が定時全体の4割。通信全体の3割。かなり支援体制を強化しなければいけない。
○登校しにくい生徒はまず通信から(週1のスクーリング)。徐々に登校する機会を増やしていく方法。
○最近は、この場所にこの学校があってありがたいと言われるようになってきていると感じる。

(東京都立世田谷泉高等学校)
○小中学校の不登校経験、高校での中退経験がある生徒が多い。中学校時代に十分な学力をつけられていない場合が多いので、学力調査や調査書の提出はない入学者選抜。面接と作文のみ。
○ 都内にはチャレンジスクール6校。今年度春に1つ加わり7校。今後8校名ができる。いまの7校の定員は1,260名。しかし都内の公立中3生の不登校は約3,000人。まだチャレンジスクールが足りない。
○ 不登校出現率が少しずつ少なくなってきている。中退も減ってきている。
○自立支援チームの設置が中途退学率の低下に大きく貢献している。学校にさまざまな専門職が配置されるようになってきている。
○中学時の環境からの解放と、同調圧力がない現在の学校環境が、登校が安定する生徒さんの心理的特徴だと思う。
○今後、登校できなくても学べる仕組みが必要だと思っている。生徒の多様性に応じてあらゆる支援をしている。 保護者が孤立しないような支援も大事。
○ICT、オンラインを活用した支援も必要になる。教員が指導しながら支援はなかなか難しいので、適切な支援員の配置が望ましい。

多様な支援が必要になればなるほど、ICTを活用したさまざまな工夫が必要になると思われますので、今後のWGでの議論には注目していきたいと思います。

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