認知症の人でも、実はできることがたくさんある
高齢化が進んでいく日本社会。
認知症はもう遠い存在ではなくなってきています。
「認知症の人は何もできない・わからない」、「認知症の人と向き合うのはとても大変」と思っていませんか?
実はそうではないんです!!
認知症の方でも、自分のしたいことを主体的になって行ったり、忘れてしまった手順も少しやり方を教わることで思い出したりと、皆さんの想像以上に様々なことができるんです!
今回わたしたちはスマイルサポート・警弥郷倶楽部(福岡市南区)に行って、認知症の人たちとワークショップをしました。
このnoteを通じて、認知症の人たちの新しい一面を知ってもらえたらうれしいです。
<自己紹介>
九州大学 芸術工学部 未来構想デザインコース2年の3人
ワークショップをするきっかけ
このワークショップをする前に、わたしたちは授業の一環で高齢者福祉施設を訪れました。
スタッフさんに話を伺ったところ、
とのこと。
新しい活動について考えていくうちに
という疑問や
という希望が出てきました。
そこで先生やメンバー全員でいろいろと考えた結果、
認知症の人たちが自分の能力や個性を発揮できるワークショップをしよう!
ということになったのです。
ワークショップの準備
ワークショップで大事にしたいこと
ワークショップという形にすると決めたとき、一番大事にしようと思ったのが「認知症の人たちに何かを強制しないようにする」ということです。
ワークショップのお題通りにする人や、自由に遊んだり話したりする人、全く何もしない人。それぞれ反応が違うということ自体が、その人の能力・個性が発揮されているということだと考えました。
お題決め
……というように活動の”根っこ”はすぐ決まったのですが、ワークショップをするときに一番大事な”お題”を作るのがとっても大変でした。
認知症の人たちに複雑なルールがあるものや、新しいゲームをしてもらうのは難しいです。だから、小さい頃によく遊んだもので、かつ訪問する施設で普段していないことを必死で考えた結果……
折り紙をすることに決定しました!
ワークショップでの様子
ワークショップの始まりは自己紹介から!
そのあとに、持ってきたさまざまな種類の折り紙から好きなものを参加者の方に選んでもらいました。
これは、
というアイデアから!
参加者の皆さんからしたら私たちは初めて会う人で、そのうえ孫と同じくらい年が離れているはずです。急にワークショップを始めてもついていけないかもしれません。
ワークショップの流れをつかむきっかけになるか……?
アイデアはうまくいった?
狙い通り、皆さんに主体的になってもらえるのか……
緊張のスタートでしたが、折り紙をテーブルに広げるとみなさん早速折り紙を手に取り始めました!
千代紙を選ぶ人やホイル折り紙を選ぶ人、手に取るものは人それぞれ。参加者の皆さんの個性がさっそく表れています!
ワークショップを始める前に考えていた通り、どれだけ折ることができるか、折りたいという意欲があるかも人それぞれです。折りたい人は折り紙をどんどん折って、そうでない人とはトントン相撲をしたり、お話をしたりしました。
ただ、参加者さんの中にはなかなか折り紙を手に取らず、話しかけても反応を返してくれないという人もいました。
そのような方もいらっしゃること、そう言った場合は無理にさせようとはせず、参加者の方の意思を尊重しながら対応することをあらかじめ打ち合わせていました。しかし、実際にその場面に立ち会うと、どうやってコミュニケーションをとったらいいのかわからなくなり、戸惑ってしまいました。
流れを変えたのはどこかから聞こえた
「やっこさんに顔を描いてあげたい」
の一言!
その参加者さんにマーカーペンを渡したところ、なんと近くにあったやっこさんに顔を描き始めたのです!!
これをきっかけに初めてその参加者さんともコミュニケーションが取れはじめました。
また、折り方を参加者さんから教わったり、若い頃の話をしてもらえたりと、参加者さんが昔のことを思い出して話をしてくれることもありました。
参加者さんが主体的にワークショップを楽しんでくれた例はこれだけではありません。
その人はきれいな千代紙を背景に見立てて、いろんな人が折ったやっこさんなどを飾って楽しんでいました。
施設の人たちの感想
スマイルサポート・警弥郷倶楽部
所長の小鷹狩ひろ子さん
まとめ
いかがでしたか?このnoteを読んで、認知症へのイメージが変わった方もいるのではないでしょうか。
認知症の方でも、自分のしたいことを主体的になって行ったり、忘れてしまった手順も少しやり方を教わることで思い出したりと、できることはたくさんあります。
また、認知症の方にもしたいことやしたくないことがあり、それを強制してしまうと良いコミュニケーションを取ることができません。お互いを尊重し合うような関係性を築くことが大切です。
私たちの感想
補足説明
65歳以上は5人に1人が認知症に
高齢になるほどかかりやすくなる認知症。高齢者割合が高くなっている日本では、今後認知症患者が増えることが予想されています。
認知症の種類
認知症の種類は大きく分けて
アルツハイマー型……約65%
脳血管性型……約20%
レビー小体型……約5%
前頭側頭型……約1%
その他
に分けられます。
*文献によって数値が異なります。
アルツハイマー型、脳血管性型、レビー小体型、前頭側頭型をまとめて4大認知症と呼ばれ、認知症全体で90%以上とも言われています。
手続き記憶
認知症になると、今までできていたことが何もできなくなる。実は”その考え”間違いです。
スマイスサポート・警弥郷倶楽部
今回ワークショップに協力してくださったスマイルサポート・警弥郷倶楽部さんの紹介です。
小規模多機能型居宅介護
介護サービスにはたくさんの種類があります。その中でもスマイルサポート・警弥郷倶楽部さんの介護サービスの種類である小規模多機能型居宅介護について説明です。
Special Thanks
小規模多機能おさ「弥永亭」
小規模多機能ホーム 「ゆふの郷」
田中史王(株式会社森の家 小規模多機能ホーム 森の家みのり荘 社長)
森本剛(看護小規模多機能型居宅介護 三丁目の花や 管理者)
鬼本佳代子(福岡市美術館 学芸課主任学芸主事)
南伸太郎(株式会社ラボラトリオ 代表取締役)
受講授業
2022年度秋学期「プラットフォーム演習B」
担当教員:中村美亜
TA: 平原早和子(修士1年)