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福岡のまちのための『ウォーカブルシティ入門』ーPART2「ウォーカビリティの10のステップーSTEP1「車を適切に迎え入れよう」

Plat Fukuoka cyclingは福岡のまちがBicycle Friendlyなまちになるために活動しています。『ウォーカブルシティ入門ー10のステップでつくる歩きたくなるまちなか』(ジェフ・スペック著、松浦健治郎監訳、学芸出版社)を読みながら、「Walkable」と「Bicycle Friendly」の関係について連載します。

前々回の第1章PART1「ウォーカビリティがなぜ重要か」では、ウォーカブルが福岡という都市の生産性にとって重要であることを確認しました。前回より第2章「ウォーカビリティの10のステップ」に入り、都市全体に関するSTEP2「用途を混在させよう」では、コンパクトシティといわれる福岡市の実力を用途地域と人口の関係から、そしてウォーカブルと都市のイノベーションの関係を考えてきました。

第3回として、STEP1「車を適切に迎え入れよう」より、都市と車の関係、車の抱える社会的課題についてソーシャルイノベーションの考え方から考察します。

STEP1「車を適切に迎え入れよう」ーウォーカブルシティと車の関係

ウォーカブルと車の関係について、ジェフが「適切」という言葉をつかっているところに引っかかる読者も多いのではと思います。ジェフの言葉です。

ダウンタウンの健全性を損なうのは、車を無条件に歓迎することよりも、自動車を完全に排除することだと思われる。肥満への適切な対応は、食べることをやめることではないように、ほとんどの店は車の通行がないと生きていけないのだ。(中略)適切な数と速度で車を迎え入れることが重要である。

ジェフ・スペック:ウォーカブルシティ入門ー10のステップでつくる歩きたくなるまちなか,pp105

本書はアメリアの都市を念頭に書かれており、欧州にみられる中心市街地への一般車の侵入を規制するトランジットモールではなく、一定の一般車の流入はストリートの賑わいとして許容するという考えになります。アメリカの近年の開発では、適切な数と速度で車を迎え入れる街並みを志向した複合商業開発タウンセンターがトレンドとなっており、すでに駐車場に囲まれたハコ形態(インドア)のショッピングモールは過去のものとなりつつあります。タウンセンターは民地内に道路を引き込みメインストリートを模したウォーカブルな街路空間をつくり、意図的に商業、業務、住宅をミックスさせているのが特徴です。前回の「用途を混在されよう」を忠実に実現しているのです。ジェフのことばと真意はここにあると思います。タウンセンターについては、下記の図書がおすすめです。

パーソントリップ調査からみえるヒトの移動状況ー減少傾向にある日本人の移動機会

まず、今の日本の移動の現状から整理していきます。最新のパーソントリップ調査より、人1人が1日のうちどれだけ移動(外出)は、コロナ禍を経ても過去最低を記録している、つまり外出の機会が減っているのが、日本全体の傾向です。

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