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超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA 【オススメ展覧会紹介】

訪問した展覧会の中から、オススメしたい展覧会について、見所をコンパクトにご紹介します。今回ご紹介するのはこちら。

超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA」展

会場:三井記念美術館(三越前駅から徒歩1分)
会期:2023/9/12(火)〜11/26(日)
展覧会URL:https://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html


▍会場に入る前に 気になるアレコレまとめ

  • 撮影可否:一部撮影可能(撮影OKマークのついた作品のみOK)

  • 入館予約:不要(予約システムなし)

  • 会期中展示替え:なし

  • 音声ガイド:なし

  • 図録:あり

  • その他:緻密な作品が多いので 単眼鏡があるとより楽しめるかも

▍どんな展覧会?

人間業とは思えない細かさやリアルさなど、「超絶技巧」な作品を紹介する展覧会。特に現代作家による超絶技巧な作品を中心に、木彫、金工、漆工などさまざまなジャンルの工芸の技術を使った作品を展示しています。

前原冬樹《『一刻』スルメに茶碗》(2022)

▍実際に観て感じた展覧会の「みどころ」3つ

①細かさやリアルさだけじゃない、現代の感覚を活かした作品の魅力!

池田晃将《電工金針水晶飾箱》(2022)

例えば、とても細かい数字をレーザーカッターを使い螺鈿細工で表現する作品のように、現代らしい感覚や、現代の道具を使って制作された作品など。緻密さやリアルさだけではない、感覚も共有できるのが同時代を生きるアーティストによる作品の魅力ですね。

青木美歌《あなたと私の間に》(2017)

②作品ごとの解説も充実。各作品のみどころがよく分かります。

各アーティストの経歴や技法について説明があるだけでなく、作品ごとに丁寧な解説があるのも魅力的です。

例えば、こちらの木彫の蝶々。実物大の蝶々は、ただリアルというだけでなく、カラフルなのに、着色はせず、色の異なる自然の木をはめ合わせて作られているそう。

福田亨《吸水》(2022)

専門用語はわからなくても、こうした技法の解説のお陰で、さらに作品を観るのが楽しくなり、驚きも増しますね。

③「超絶技巧」のルーツ、明治時代の工芸作品もあわせて展示。

こうした「超絶技巧」のルーツは、明治時代の工芸から。

明治になり、武家社会が終わったことで、江戸時代には武具を作っていた職人たちが、自分たちのもつ技術を転用し、「超絶技巧」の工芸品が生まれてきたといいます。(※参考: 死ぬまでに知っておきたい日本美術 / 山口桂

今回の展覧会の後半では、そうした明治の工芸品も数多く紹介されています。その精巧さには、時代が変わっても、なお驚きがありますね。

▍個人的 イチオシ作品

月並みですが、本展のキービジュアルにもなっている《月光》。印象的な白い花は鹿の角、その他の葉などは木を彫ってつくられています。

大竹亮峯《月光》(2020)

驚くのは、この花器に水をそそぐと、鹿の角でつくられた花が開くのだそう。会場ではその様子は見ることはできませんが、思わずその姿を想像してしまいます。

大竹亮峯《月光》(2020)

葉っぱのように、この花の原産国で花粉を運ぶ存在であるコウモリがあしらわれていたりと、展示ケースのさまざまな角度から、隅々までじっくりと見たい作品です。

アートファンならずともきっと楽しめる展覧会ではないでしょうか。「超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA 」は、三越駅前から徒歩1分の三井記念美術館で、2023年11月26日(日)までです。

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