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落合陽一「未知への追憶 -イメージと物質||計算機と自然||質量への憧憬-」 @渋谷モディ2F (展覧会レポ)

渋谷モディにて、落合陽一さんの個展「未知への追憶 -イメージと物質||計算機と自然||質量への憧憬-」がはじまりました。

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■ 2017年以降の活動を俯瞰する大規模展示

今回の展覧会は、2017年以降の活動を俯瞰する大規模個展。「コロイドディスプレイ」や「レビトロープ」などのメディアアート作品に加え、amanaやライカなどでも個展を開催してきた写真作品、さらには、「耳で聞かない音楽会」などのプロジェクトやこれまでの書籍なども併せて展開され、落合さんの幅広い二分野での活動が俯瞰できる展覧会になっています。

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「メディアアート作品」を撮影した「写真」も素敵です

個々の作品としては過去に何度か見たことのある作品も、写真との組み合わせや、展示方法などを変え、全く新しいインスタレーションとして構成されていて、一度見た作品でも新しい驚きがあったりします。また、落合さんのメディアアートは、単体でも成立するけれど、鏡面やレンズをつかって周囲の環境を取り込んだ作品も多いことに気づきます。

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例えば、今回の展示の《風景を切り取る(渋谷)》(Morpho Scenery?)。タワーレコードの入り口のこの風景、「渋谷」という場所だけでなく、思い出の中のような時間も切り取っているようにも見えます。

■ 改装前のワンフロアをまるごと展示室に

今回の展覧会は、美術館やギャラリーのようなホワイトキューブな建物でなく、これから大規模な改装にはいるという丸井のビルの2階。剥き出しの配管やコンクリートの壁、もともと店舗の境目だったであろう床面の材質の違いなど、その雰囲気もインスタレーションとして取り込んでいるようでした。

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落合さんのnoteを拝見すると、今回のこの展示室内も、会期前には制作のための場所としても利用していたよう。床面のところどころには、ご本人のコメントか、走り書きのようなものも。通常の美術館ではできそうにない、ユニークな試みですね。

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そんな展示室の中で、一番印象に残った作品は、薄暗く静かな「質量への憧憬」のセクションの中に並ぶ立体作品の《モニュメントゼロ》。流木のような木に、真っ黒いたくさんの蝶々がとまった作品です。その隣ではコロイドディスプレイの中でモルフォ蝶が輝き、その前にも構造色でモルフォ蝶を再現した動きのある作品を見てきた中、光(もしくは構造)と失った同じモチーフには、スタティックな作品でありながらぐっと視線が引き込まれます。

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■ ご本人による解説なども

今回の展覧会では、多数のキャプションもありますが、一方でご本人による限定公開のYou Tubeも見られるようになっています。音声ガイドのようにも楽しめるので、イヤホン持参で行かれることをお勧めします。

また、今回の展示は、丸井という場所柄もあってか、物販も充実。ポストカードやクリアファイルだけでなく、マスクやマスク用ミストまで販売されているのが、今らしいですね。(本当は図録があれば欲しいんですけどね…)

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それにしても今回の展覧会、一般1,800円と、入場料高いなぁなんて思っていたのですが、大学生以下は無料というのは素敵な試みですね。天気や時間帯によっても雰囲気が変わりそうな作品もあり、何度も足を運んでも楽しそうです。

落合陽一「未知への追憶 -イメージと物質||計算機と自然||質量への憧憬-」 @渋谷モディ2Fは、8月31日(月)までです。

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【展覧会情報】落合陽一「未知への追憶 -イメージと物質||計算機と自然||質量への憧憬-」 @渋谷モディ2F

落合陽一

会期:2020年7月23日(木・祝)~ 8月31日(月)
時間:11:00〜20:00
入場料 :一般1,800円(大学生以下無料)

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※ 過去に書いた 落合陽一さん個展関連の展覧会レポ







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