見出し画像

尾道水道の風景と調和するリノベーションホテル ーHOTEL CYCLE / Onomichi U2 (広島県尾道市)

 千光寺から臨む尾道水道の絶景があり、大林宣彦監督の尾道三部作の舞台で、そして今年は「ひろしまトリエンナーレ2020 in BINGO」の開催地のひとつにもなる尾道。

画像16

 その尾道に2014年につくられたのが、ホテル、レストラン、セレクトショップなどを擁した複合施設「Onomichi U2」。こちらにあるホテル「HOTEL CYCLE」に宿泊しました。(2019.10)

画像2

画像4

1) 倉庫をリノベーションしたホテル

 もともとあった古い倉庫をリノベーションしてつくられたホテル。設計は、建築家・谷尻誠さんと吉田愛さんのSUPPOSE DESIGN OFFICE。隣には同じような大きさの倉庫があり、こういった倉庫がこんなにお洒落な空間になったのか…と驚きます。

画像3

お隣の倉庫はこんな感じ

 しまなみ海道が自転車でのツーリストに人気であるところに着目して「自転車と一緒に泊まれるホテル」というコンセプトでつくられたというHOTEL CYCLE。ふらりと立ち寄れる雑貨屋さんやレストラン、パン屋さんなどのはいるスペースからそのまま宿泊ゾーンにつながっています。

画像5

宿泊ゾーン

 ホテルの入り口には、美術家・名和晃平さん率いるSANDWICHIによる彫刻《モレキュラー・サイクル / 分子の循環》も。

画像6

ここから先は宿泊者スペース

 廊下は自転車のメンテナンスしたり、それを通じて宿泊者同士のコミュニケーションが生まれるように広くとってあるそうです。なんだか土間のような空間というか。部屋を出るとすぐにパブリックスペースになる、ちょっと不思議な感覚です。

画像7

 屋内は空調が効いている一方で、ファンも多数置かれていました。谷尻誠さんの書籍には「海と山に囲まれた2000m2という広い空間を生かし、空調だけに頼らず湿度をコントロールすることで快適性を得るためのシステム」が設けられているとありましたが、こういったところでしょうか。

2) 建築家・谷尻誠さんがイチから手掛けた宿

 こちらのホテル、建築家・谷尻誠さんが「企画のコンテンツづくりから本格的に関わった初めてのプロジェクト」だそうです。「自転車と一緒に泊まれるホテル」というコンセプトづくりから、地元の人も入りやすい店舗を入れること、部屋の備品のデザインまで手掛けられたのだとか。

画像8

 客室は広くはないですが、お風呂場までガラス張りで開放感があります。(トイレやお風呂に入る時はカーテンを閉める形になり、慣れないのでちょっと戸惑いましたが…)

画像9

画像10

 パジャマをはじめ、オリジナルのアメニティなども用意されていて、落ち着いた統一感があります。

画像11

 客室内は落ち着いた完全なプライベート空間。でも、波板ガラスの向こうに道沿いに置かれた植物の緑が見えて、この壁の向こう側がすぐ道路で、人もいっぱい歩いている…と思うと、ちょっと不思議な気分になります。

3) 尾道水道の景色を堪能

 尾道水道のほとりに建つこのホテル。部屋の中から外を眺めることはできなかったのですが、外に出ると、心地の良いテラスがあります。

 そして、夕暮れにはこんな夕陽が!埠頭にはたくさんの人が集まっていました。

画像12

 レストランからも尾道水道がよく見えて、朝ごはんの時間には宿泊者だけでなく地元の方も食べにきていらっしゃるようでした。

画像13

 部屋は完全にプライベートで静かな空間だけれど、壁一枚向こう側が観光客も地元の人も関係のなく開かれたパブリックな空間だという感覚が不思議な空間の宿でした。


 近くにはアトリエ・ワンの手掛けたJR尾道駅の駅舎や、安藤忠雄さんの手掛けた尾道市立美術館、そして、古い街並みも残り、建築を楽しむこともできる街でした。

画像14

JR尾道駅


参考:CHANGE-未来を変える、これからの働き方 / 谷尻誠

グレー

【施設概要】ONOMICHI U2 / HOTEL CYCLE

画像17

〒722-0037 広島県尾道市西御所町5-11
TEL:0848-21-0550 FAX:0848-21-0552


最後まで読んでいただきありがとうございます。良かったらサポートいただけたら嬉しいです。サポートいただいたお金は 記事を書くための書籍代や工作の材料費に使わせていただきます。