【美術館と建築】 ポーラ美術館(神奈川県足柄下郡箱根町)
メインストリートから見ると、どこに美術館があるのかと、少し迷ってしまいます。
箱根にあるポーラ美術館。2002年に、ポーラ化粧品で知られるポーラ創業家2代目の鈴木常司が収集した美術品約9500点を展示するためにオープンした美術館で、印象派絵画のコレクションは日本最大級。
「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトとして掲げ、美術館建築と自然環境の共存を考えて作られた建物。自然環境と共存するため、高さを8m以下に抑え、木々の間に隠れるように設計されたそうです。
このため、地上の入り口から地下に潜っていく構造になっています。
遊歩道から見ると、すり鉢状の中に展示室が置かれている様子がよくわかります。地下工事のため、66,000m3もの土が搬出されたのだとか。
すり鉢状の空間から建物を浮かせ、免震ゴムを土台とすることで人と美術品を地震から守り、また、擁壁と建物の間に空間を作ることによって高湿度から作品を守っているそうです。
(館内にある建築模型)
展示室ではない部分の天井はガラス張りで、晴れた日にはたくさんの光が降り注ぎます。
壁面は半透明のガラス内側から面で照らす「光壁」。
これらの光によって、大部分が地下とはいえど閉塞感はなく、外の自然の風景とのつながりが感じられます。
2013年には、全長は670mの遊歩道もオープン。ブナ・ヒメシャラが群生する富士箱根伊豆国立公園内の自然を楽しめるようになっています。
台風19号で大きな被害を受けた箱根ですが、ポーラ美術館は、10月14日(月・祝)から通常通り開館しています。交通の状況については、箱根町役場HPや、箱根登山バス、伊豆箱根バスなどの交通情報のページ、またポーラ美術館のフェイスブックページなどをご参照ください。
【Data】
ポーラ美術館
竣工:2002年5月
設計:日建設計
施工:竹中工務店
延床面積:8,098㎡
構造/規模:鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、免震構造/地上2階、地下3階
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