見出し画像

オンライン展「Kosei Komatsu Studio Exhibition 00 "雨のうた”」(展覧会レポ)

美術館での展覧会が軒並み中止になった今年の春を経て、オンライン上で見られる展覧会も増えてきました。

バーチャル空間を使った展示、映像作品を全編webで見られるもの、展覧会の会場を学芸員さんの解説付きでまわるもの…など、様々な展示方法が試されています。

(展覧会に全く行けなかった当時、こんなnoteも書きました。)

美術館でもギャラリーでも展覧会が再開されつつあるなか、先日公開されたのがアーティスト・小松宏誠さんのオンライン展覧会「Kosei Komatsu Studio Exhibition 00 "雨のうた”」

インスタレーション作品の映像と写真でのオンライン展。まずは、ぜひ一度、イヤホンを使ってご覧になってみてください。

”Exhibition 00”というタイトルなので シリーズ化するのでしょうか?


今年、4-6月に福井の金津創作の森美術館での個展「小松宏誠展 光と影のモビール 森の夢」が予定されていましたが、展覧会は中止に。個展のwebページを見ると、今回の映像に登場する「雨のうた」は、その展覧会での展示予定だった作品をスタジオに設営して撮影した作品のようです。

鳥の羽や蜘蛛の巣から人工的な偏光フィルムまで、光によって様々な表情を見せる素材を使った作品を制作されてきた小松さん。過去に展示をなされていたMedia Ambition Tokyo や越後妻有芸術祭などでも、大規模な作品やインスタレーションは、どれも会場全体を取り込むような様子が印象的で、おそらく映像と実空間で見るのとでは違ったものになってしまうのではないかとも思います。

こちらは昨年高島屋で開催された個展の様子

でも、今回の映像のなかにあるのは、美術館の空間とは違う「自然光」の入るスタジオ、人間の目で見えるのとは違ったカメラのレンズの効果を使った見せ方、それから、サウンドアーティストとのコラボレーション。

きっと実際に見るのとは全然ちがったものなのだろうと想像しつつも、言語的な説明とはまたちがって、アーティストの方が見せたいものがストレートに届くように感じられました。


はじめにこの映像をみた時、わたしは「水溜りに雨粒が落ちる様子のよう」とか、「シャボン玉がはじけるよう」といったふんわりとしたイメージを思い浮かべました。ところが、その後に予告編の映像を見ると、その「水溜りに雨粒が落ちる様子のよう」が本当にそのまま空間に再現されている様子に驚きます。

今年、中止となってしまった個展に寄せたメッセージには、以下のようにありました。

「変化の中、何世代も受け継がれ「あたりまえ」になってしまった美しさがあります。その「あたりまえの美しさ」も、現実とは思えない夢のような瞬間が、何回も繰り返され、誰かから誰かに受け渡されてきたのだと感じる事があります。現実は、果てしなく交換され続ける夢の中かもしれない。」

水溜りの水面にうつる波紋やその音も、そんなもののひとつかもしれないですね。

それにしても、映像自体が短く、音が心地よいこともあって何度も繰り返しみてしまい、その度にその前にみた時には気づかなかった光景が見えてくるような様子が面白くも感じました。


実会場と違ってもどこでも観られるのはやはりオンラインの強み。ぜひ一度ご覧になってみてください。

この記事が参加している募集

オンライン展覧会

最後まで読んでいただきありがとうございます。良かったらサポートいただけたら嬉しいです。サポートいただいたお金は 記事を書くための書籍代や工作の材料費に使わせていただきます。