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岡山城のまわりで 《近代名建築》をめぐる! ー 前川國男、岡田新一建築と 岡山芸術交流作品

 「岡山では 1日で歩いて回れる場所に《近代名建築》が密集しているんですよ。」

 岡山に行く直前、岡山で開催される国際芸術展「岡山芸術交流」についての話を伺っていたなかで、こんな話題が。2016年の「岡山芸術交流」では それらのいくつかの建物を会場としても活用していたのだとか。そして、前回展から2年経った今でも、作品の一部はまだ残っているとのこと。

 建築に詳しくはないけど、なんだか面白そう!

 というわけで、路面電車の県庁通り駅で下車して、徒歩で巡ってみました。

■ 岡山県庁舎 / 前川國男 (1957)

 県庁通り駅から 徒歩5分ほどで到着したのがこちら 岡山県庁舎。東京文化会館や東京都美術館の建築家、前川國男氏の初期の大作なのだそうです。

 大きなピロティ構造で 開放感のあるエントランス。

 レリーフのような凹凸の陰影が美しいこちらの壁は 建物の荷重を支えていない壁になっていて、カーテンウォールというそうです。


 県庁舎の向かいにもある大きな建物はなんだろう…?と調べてみると、こちらは岡山県立図書館

 なんと、来館者数・個人貸出冊数が12年連続日本一ということで、思わず中も覗いてしまいました。確かに広いけど何故そこまで?と思ったら、自動化書庫で閉架図書でもすぐに探せるのだとか。へぇ〜。館内が”自習禁止”なのも、本を読むのには良い環境なのかもしれないですね。

林原美術館 / 前川國男 (1963)

 岡山県庁舎からすこし歩くと、岡山城のお堀に到着。その横に建っているのが林原美術館

 入り口を見て、あれ?これが近代建築?って不安になりましたが、こちらの入り口は、岡山藩の支藩の武家屋敷から長屋門を移設したものなのだそうです。

 門をくぐったこちらの建物。お城のような野面積みの石垣の上にかっちりとしたスマートな雰囲気の建物があるのがなんだか不思議な感じです。

 ちなみに、「林原」という名前は、トレハロースで有名な株式会社 林原の故林原一郎氏のコレクションだった美術品を元に構成されているからだそうです。

 ちなみに、地図を片手に歩きながらこの川(旭川)、ずいぶん不自然な曲がり方しているなぁ…と思ったけど、天然の外堀に活用するために改修されたとのこと。すぐ隣は岡山城です。

岡山市立オリエント美術館 / 岡田新一 (1979)

 まわりは建物が密集していて全体が見づらく、また、閉館時間を過ぎてしまったので中は見られませんでしたが… 最高裁判所や警視庁本部庁舎を手がけた岡田新一氏の建築。

 展示物について行った方に話を伺ってみると、古代オリエントの美術品が統計立てて収集された日本でも稀有なコレクションで とても見応えがあると評判なので、次回は展示も見てみたいです。

岡山県立美術館 / 岡田新一 (1988)

 先ほどの「岡山市立オリエント美術館」と同じ岡田新一氏の建築ながら、積み木を重ねて作ったような物質感の強い構造で、迫力があります。

 内部にはどっしりとした重厚な柱などがある一方で、天井までの大きなガラス窓や巨大な吹き抜け空間もあり、開放感が感じられるのが面白かったです。(まさか、地下2階に展示室があるとは…)

岡山県天神山文化プラザ / 前川國男 (1962)

 岡山県天神山文化プラザは岡山県立美術館のすぐ隣に。

 ピロティの天井が黄色一色で塗られ、明るく感じられます。前川建築のなかで、こんな風にピロティに色付けされているのはここだけなのだとか。

 こちらでは、館内で建築の紹介ビデオを流してくれていたのが嬉しかったです。

 西日を遮るルーバーや、当初は屋上でのイベントを行うことも考慮して設計された三角形の天窓、フォンタナ風につくられた空調の吹き出し口など。

 素人なので見ただけで意図を汲むのは難しいのですが、面白いなぁと思って見ていたデザインのなかの機能を知ると、興味が湧いてきます。


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 そして、今まだ残っている「岡山芸術交流2016」の作品も見てきました。

A&A TUBE / フィリップ・パレーノ×青木淳建築計画事務所

 こちらは、天神山文化プラザのすぐ裏に。「A&A (エー・アンド・エー)」は Arts & Architectureを意味し、世界的に活躍する現代アーティストと日本人建築家がタッグを組んでデザインする宿泊施設を岡山に誕生させるというプロジェクトなのだそうです。

 そして残りの作品は、路面電車の城下駅のこの近くに。

「How to Work Better」 / ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス

「Faceted Development」 / リアム・ギリック

 岡山芸術交流2016の作品は基本的には会期中のみの展示で、現在も見られるのはこちらの作品だけのようです。

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 岡山市には何度か行ったことがあったものの、岡山城のまわりに、こんなに面白い建築があったなんて、今回初めて知りました。

 時間的に、内部までは入れなかったものもありますが、これらは半日くらいで歩いて見て回ることができました。

(岡山城の天守閣に登ると 岡山県庁舎の全体像がよく見えます)

 次回の岡山芸術交流は2019年。そのときには、今回入れなかった場所も、建築と展示を併せて楽しめたら良いなと思いました。

※ このnoteに書いた建築・作品の場所をgoogleマップにまとめました。


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