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美術館 * 建築

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展示内容だけでなく、その建物自体も魅力的な美術館について、見て気づいたことや調べたことなどを、写真と合わせてまとめます。
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【美術館と建築】屋内も屋外も。 海、山、空に溶け込む美術館。|下瀬美術館

今年3月に、広島県大竹市にオープンした下瀬美術館。建築家・坂茂さんの手掛けたその建築がとても印象的な美術館でした。実際に行ってみてオススメしたいと思ったポイントをご紹介します。 ▍自然の風景に溶け込む建物入り口から歩行者用通路を通っていくと現れる美術館。その建物は、全面鏡張りになっています。 青空や周りの山々を移し込み、風景と一体化するような建物。その中に入ると、その先には、全面ガラス張りのように、建物の奥に瀬戸内海の海と島々の風景が広がります。 屋内外を出入りして気づ

キーワードは「共生」  黒川紀章建築の 美術館・博物館 5つ。

埼玉県の北浦和駅前にある埼玉県立近代美術館。 埼玉県立近代美術館エントランス こちらで2021年1月11日(月・祝)まで開催中の「上田 薫」について、”日常の「何それ?」を楽しむメディア「ナンスカ」”で紹介させていただきました。 ■ リアルを超えた「超リアリズム」の世界 / 「上田薫」展 @埼玉県立近代美術館 埼玉県立近代美術館の設計は、銀座にある中銀カプセルタワービルなどの設計で有名な黒川紀章さん。今回は、黒川紀章さんが手がけた美術館・博物館を5つ(+α)ご紹介した

再活用された「歴史ある建築」が美しい美術館 4つ。

”日常の「何それ?」を楽しむメディア”「ナンスカ」に、東京都庭園美術館で開催中の「生命の庭ー8人の現代作家が見つけた小宇宙」展についての記事を寄稿しました。 ■ アール・デコ建築の空間と共鳴する”現代アート”の展覧会 「生命の庭ー8人の現代作家が見つけた小宇宙」展(東京都庭園美術館) 東京都庭園美術館の特徴といえば、展示にも匹敵するような見応えのある歴史的建築と調度品。そこで今回は、過去に別の用途で使用され、現在は美術館として再活用されている「歴史ある建築」が美しい美術館

「水鏡にうつる建築」が美しい美術館・博物館 5つ。

2020年11月6日、東所沢に角川武蔵野ミュージアムグランドオープンし、「ナンスカ」にて記事を書かせていただきました。 ■ついにグランドオープン。さまざまなカルチャーが混ざり合う 角川武蔵野ミュージアム 8月のプレオープン時に伺った際には曇〜雨だったのですが、今回、グランドオープンで晴れた日に伺ったら、建築の周囲を囲む水盤に映り込む景色が美しい…! そこで今回は、「水鏡にうつる建築」が美しい美術館・博物館 を5つ、行ってみたいところも含めて挙げてみました。 1) 角川

「ナンスカ」の記事が公開になりました。以前、隈研吾さんによる独創的な石の建築の美術館を2つ紹介しましたが、こちらも素材を独創的につかった建築の美しい美術館です。 木と鏡のつくりだす空間美 / TOYAMAキラリ (富山市ガラス美術館) https://www.nansuka.jp/authorpuraimari/p007272/

【美術館と建築】 建築自体が巨大なカメラ?!のユニークな写真美術館 ー植田正治写真美術館(鳥取県西伯郡伯耆町)

 鳥取県の大山のふもと、のどかな田畑の風景の中に抽象絵画のような印象的なコンクリートの建物が現れます。 植田正治写真美術館  写真家の 故・植田正治さん (1913年-2000年) の個人美術館です。「砂丘シリーズ」の舞台として有名な鳥取砂丘からは車で約90分ほどの美術館。植田正治さんの作品はもちろん、建築も楽しめる美術館でした。 (せっかくならば、併せて寄りたい鳥取砂丘。) ① 植田正治さんの代表作「少女四態」をモチーフにした建築。 鳥取県出身で、山陰の風景を被写体

【美術館と建築】 コンクリートと水鏡の美術館。 ー高梁市成羽美術館(岡山県高梁市)

 周囲の緑の景色を写し込む大きな池。その中に浮かぶように見える建物。直線的なコンクリートの塊だけれど、無機質ではなく、建物自体が抽象絵画のようにも見えてくる。 高梁市成羽美術館(たかはししなりわびじゅつかん)  岡山県高梁市にある、美術館と考古学系博物館の複合施設です。設計は建築家・安藤忠雄氏。  入り口には成羽陣屋跡(山崎氏御殿跡)の石垣が残り、街道側から見た時と山側から見た時では印象が大きく異なります。 (大手門の石垣を生かしたエントランス)  街道側から建物の

揺らぐ光の美しい美術館 ー佐川美術館(滋賀県守山市)

 美術館の敷地に入ると、スケールの大きさに思わず足が止まります。  琵琶湖大橋のほど近くにある佐川美術館。佐川急便の創立40周年を記念して1998年に開館した私立美術館です。設計・施工は竹中工務店。  ぐるりと巨大な池に囲まれて、水辺に浮かんだように見える本館は、切妻造の巨大な屋根をもち、神社のような荘厳な雰囲気を感じさせます。  池の外側を通り、建物の周りをぐるりと回ってみると、本館の奥には。やはり水に浮かぶ茶室が。この茶室とその地下に展示室を構えるのは、2007年竣

【美術館と建築】 ポーラ美術館(神奈川県足柄下郡箱根町)

 メインストリートから見ると、どこに美術館があるのかと、少し迷ってしまいます。  箱根にあるポーラ美術館。2002年に、ポーラ化粧品で知られるポーラ創業家2代目の鈴木常司が収集した美術品約9500点を展示するためにオープンした美術館で、印象派絵画のコレクションは日本最大級。  「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトとして掲げ、美術館建築と自然環境の共存を考えて作られた建物。自然環境と共存するため、高さを8m以下に抑え、木々の間に隠れるように設計されたそうです。  このた