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トウモロコシ(嶽きみ)

【トウモロコシ】玉蜀黍
学名:Zea mays subsp. mays (L.) Iltis
米名:Corn
英名:maize(穀物全体はCorn)
イネ科トウモロコシ属 一年生
原産国:中南米付近
主な生産地:北海道(30%以上)、千葉県、茨城県、群馬県
収穫時期:初夏から晩夏

地域名:北海道では「とうきび」、青森県では「きみ」。古くから伝わる呼び名「なんばんきび」は近畿地方、愛知県などに残されている。その他の日本での呼び方は多数あるので割愛。

<基本情報>

トウモロコシの起源は古く、世界三大穀物の一つ。食用のほかその多くは家畜用飼料、コーンスターチ(デンプン)、油やエタノール原料として重要な作物。交配を繰り返し多様な品種があるが、野生種、自生は現在のところ見つかっていない。

日本に入ってきたのは1580年前後に、ポルトガル人から長崎周辺とされている。当初は固い品種で雑穀、加工品として扱われ、スイートコーンが広まったのは明治初期の北海道開拓においてアメリカより導入された。
1960年代頃から品種や作付面積も拡大、1980年代頃から本州に広まった。

可食部の粒は種子。茎の先に穂のように立ち上がるのが雄花。雌花は苞のなかにあり、先端から伸びる長い「ひげ」は雌しべ(絹糸・けんし)。ひげと粒の数は同じ。

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品種については、フリント種(硬粒種)、ワクシーコーン(もち種)、爆粒種(ポップコーン原料)など多数あり、ここでは主な食用としてスイートコーン(甘味種)について記す。

<主な栄養成分・フィトケミカル>

食物繊維、でんぷん質などの炭水化物が多い。ビタミンB1、B2、Eのほかカリウムなどが豊富。他にはリノール酸、オレイン酸も含む。
(胚芽部分に多く含まれる)

カロテノイド由来のキサントフィル(黄色の色素)やトリプトファン由来のセロトニン、メラトニン(体内時計調節ホルモン)などにより抗酸化作用や免疫力向上の研究が進められている。

軸の部分のバイオプラスチックや、キシリトール(甘味料)への利用も注目されている。

乾燥させたひげは、「玉米鬚(ぎょくべいしゅ)」、日本名は「南蛮毛(なんばんもう)」という生薬となっている。

写真はイメージです

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<青森県では>

全体の生産量が少ないが、各地でブランド化が進んでいる。中でも認知度が上がっている「嶽きみ」がある。

「嶽きみ」
岩木山の麓、寒暖差の影響で糖度が18度以上にもなる。
収穫期は他より遅く8月中旬から9月下旬。

「嶽(だけ)」とは、青森県弘前市の西部地域、岩木山近くの岩木地区「嶽地区」のこと。その地区で栽培・収穫されたとうもろこしの総称であり、品種名ではない。地域団体商標に登録されている(2007年)。

▼鈴木農場

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昨今の町おこしブランド化ではなく長い歴史の中で地域からの評判でこの名で呼ばれるようになり根付いたという数少ない例といえる。
詳しくはこちらにストーリーが(外部リンク)。

他に、馬の産地である十和田市では、飼料用デントコーンの栽培歴史がり、トウモロコシの皮を利用し手作業でつくる「きみがらスリッパ」の生産が1947年から受け継がれている。
詳しくはこちら


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