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青森の西海岸。ふかうら雪人参が潜む地、その未来は。<集出荷編とインタビュー②>

前回に引き続き「ふかうら雪人参」について。
今回は、収穫された人参が世に出るまでの様子を公開。再び加工製造の小林さんへのインタビュー、深浦町の課題と未来についてお聞きしました。

前回の記事はこちら

※機械音にご注意ください。リアルな現場そのままです。

どこから来てどこへ行くのか?

このあと、いろいろな出荷先へ旅立ちます。もちろんすぐ近くのジュースやスープの加工場へも。

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青森県の西海岸に面した高台の地、うしろには白神山地。
「いろいろな方に来てもらえる仕組みづくりが必要」深浦町食産業振興公社の小林 一之さんにインタビュー②

インタビュー2

ふかうら雪人参や町のこと、課題と未来は

----------- 農業の課題については、全国共通のことが多いですが、深浦についてはいかがですか?

小林さん
ふかうら人参は、極寒の中で掘り上げる。どうしても収穫自体が困難を極めます。皆で頑張って何とか続けてますけど、人手がもっと欲しいですね。 機械だけでは収穫できないので。

----------- あの広さを見て、本当に人力でっ??と思いました。

小林さん
収穫を担う方が、10年前からどんどん減ってきています。でも少し明るい兆しがありまして。最近若い方が入ってきていて、農業に興味を持ち始めた人が増えているのかなと期待しています。
贅沢を言えば町外、県外からももっと増えてくれるといいなと。

----------- ここに来る前から、冬の厳しさ以外に大変なことは他に何があるんだろうって考えてきたのですが理解しました。どこも人手不足だけれど、この広さではさらに。

小林さん
今日の天気くらいだと収穫もラクでいいんですけどね。でもそれだと「ふかうら雪人参」にならない。(笑)訴えかけるものもなくなっちゃいます。

お客様へのご案内も大変です。真冬に料理関係のお客様が見学にいらした時は、猛吹雪で(笑)。収穫用のかごも飛ばされる状態で仕事にもならず、収穫作業の方は引き上げたのに、私はその中で撮影のために収穫してみたりしましたが、5分もいれない状態でした。(笑)

収穫風景1

※写真は通常の収穫現場(写真提供:深浦町食産業振興公社)

---------ですよね、青森の方だと事前に覚悟して来るとは言え・・・・
あ、こんな穏やかな日に来てすみません!!

小林さん
(笑)いえいえ。

----------でも、今日の天気のおかげで夢が広がる場所だと感じました。
あんなところないですよね!
広大な農場、白神山地と海、文章で読むだけでは伝わらないです。

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小林さん
私も青森にいて地平線が見えると思ってなかった。(笑)
青森の中でも西海岸側は(比較的)温暖で、青森市と比べて雪も多くなく住みやすいんですけど吹雪が・・・。

---------温暖・・・(笑)、西海岸! そう言えば、新岡さん(舮作興農組合・代表)が農場の「えん麦」のところを花やハーブも植えてもっとキレイにすると言ってました。盛り上がっちゃって。(笑)

小林さん
新岡さんは昨年4月から就任した方で。米農家さんだったんですよ。いろんな考えを持ってる方で。

----------そうですね。宿泊施設※の話なども早々に掛け合ってみたけど課題が多すぎて断念と。

ウェスパ椿山:2020年10月末で閉鎖した観光施設。温泉などのほか敷地内にコテージも並ぶ。農場、加工場からも車で数分。
(下の写真は帰りに寄って撮影)

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小林さん
そうですね。いろいろ案は出ているようです。新しい村ができそうな場所ですよね。

他の課題としては、人が集まる仕組みづくり、情報発信をする人が少ないこと。この町も、じき限界集落になってしまうことが懸念されますが、学校も廃校になり子育て世代も入って来れない。そうした場合、業種問わずいろんな方に来てもらえるような仕組み作りが大事と思っています。

---------希望は今後のデジタル化かもしれないですね。深浦町のような自然に囲まれた環境で暮らして、オンラインでも仕事しながら、農業もするといった方が出てくる日は近い気がします。

小林さん
そうなるといいですね。将来的には、他の小規模農家さんからも入荷して頂けるような仕組みも作って連携して行きたいです。

----------最後に、今後の取り組みについて教えてください。

小林さん
この気候を生かした作物、雪人参以外でも、長いものネバリスター、大根などもブランド化していきたいですね。いろんな課題がありますが、まずは発信していくことが大事と思っています。

まとめ

全国共通、農業に限らず課題の高齢化と人手不足。加えて真冬の極寒作業、さらに大規模農場での手掘り。過酷なことしかないじゃない・・のイメージを覆すのはそのロケーション。3、4ヶ月を過ぎると吹雪で見えてなかった地平線が現る。未来も明るく日が差しこむのでは、と思いながら吹雪の日に行けなかったことを反省していた。

次回で終了です。インタビュー③は、お話しに出ていた「新岡代表」と農場内ドライブ&車中インタビューです。窓ガラス越しですが、景色の一部がわかります。

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