【AWARD】「フェーズフリーアワード2023」入選作品ご紹介
プランテック若手社員の応募2作品が入選!
広報担当のMです。今回はフェーズフリー協会が主催する「フェーズフリーアワード2023」に、見事に入選を果たした2作品「MOBI-GREEN BASE」と「UNibrella」をご紹介します。
フェーズフリーアワードとは?
フェーズフリーアワードは、一般社団法人フェーズフリー協会の主催により「災害による被害が起こりにくい、安心して豊かに暮らせる」社会を実現していくための活動として2021年から始まったアワードです。フェーズフリーとは「いつも」と「もしも」に関わらないことを意味します。フェーズフリーの観点から生活の質を向上させ、私たちの生活や命を守ってくれるものにしようという新しい考え方に基づき、さまざまな事業やアイデアを広く社会から募り、優れた事業やアイデアを顕彰し実用化も見据えた活動です。
プランテックでは入社3年目社員が自主的にコンペに参画する取り組みを行っており、2023年度は「フェーズフリーアワード」に2作品応募し、応募総数195作品のうち、2作品ともに入選いたしました。
応募者であるプランテック社員Hさん、Nさん、Fさん3名の応募から入選に至るまでの想いや考えなどを交えてご紹介していきます。
応募のきっかけ
2023年3月、入社3年目のメンバーを対象に自主的にコンペに挑戦していく研修の中で、本来の業務と一級建築士試験と並行していくために時期を選んでいたところ、このコンペにたどり着きました。(Hさん)
過去の入賞作品を見ていると建築や設計に偏ったアイデアを求めているのではなく、プロダクト(モノ)やアプリといった様々な提案がある部分に面白さを感じました。(Nさん)
気候変動や異常気象が問題視され防災の重要性が叫ばれる中、日常時から非常時までフェーズ関係なく役に立つモノやサービスをデザインするという、フェーズフリーの考え方に共感しました(Fさん)
【入選作品1_アイデア部門】
MOBI-GREEN BASE
EVモビリティのシェアステーションと野菜栽培基地が融合する持続可能な地下空間
将来的にEVモビリティが普及し、自家用車を持たずシェアすることが主流となると、まちの駐車場に余剰空間が生まれることが予想される。
『MOBI-GREEN BASE』は、都市部における車のためだけの無機質な空間(地下駐車場)を有効活用した、どんなときも機能するみんなのための有機的で豊かな空間の提案。
フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント
いつもはEVモビリティのシェアステーションと手軽で身近な野菜栽培基地として、様々なアクティビティを生み出す、人とモビリティが調和した空間を提供する。都心で新鮮な野菜を栽培・収穫でき、近隣の飲食店との連携や農業体験、食育の場として活用可能。さらにコミュニティガーデンとして地域の絆、人々のつながりを強化する。
もしもの時でも、地下空間の安定した環境のおかげで外部の状況・天候に左右されず、いつでも安定して栽培が可能。様々な災害に対応できる有機的な地下シェルターとして機能し、スムーズな救助・支援活動を支える。停電時はEVの蓄電池を利用して栽培を継続・提供することで、避難生活でも健康的に過ごすことができる。
アイデアに至った経緯
会社にいるときや出先で被災したらどう行動すべきなのか、いろんな状況を想定して議論する中で、「防災のために何か新しいものを用意するのではなく、街中にありふれているものに一つ要素を付加することで、もしもの時に人を守り助けることができるものになる」という考えを軸にアイデアを出すことになりました。(Hさん)
設計業務のなかで、都内や都心の附置義務駐車場に感じていた疑問からスタート。車一台分のスペースをユニットとして使用できないか等から、EVモビリティ、シェアサービス、野菜栽培といったアイデアにつなげていきました。(Nさん)
調査を進めると都内中心部エリアであっても、建物内に設けられた駐車場の利用率が平均して3~5割程度に留まっていること、その利用されていないスペースを活用する策が求められていることが分かりました。また東京都では、令和2年度のカロリーベース食料自給率が0%を記録しており、災害時の脆弱性があらわになっています。非常時のみならず日常においても、身近で手軽に野菜栽培をする場所を都心部に作ることができれば、人々の生活を少しずつ豊かにできるのではないかと考えました。(Fさん)
【入選作品2_アイデア部門】
UNibrella
日常の雨に彩りを添え、非常時には万能ユニットとして活躍する街なかシェア傘
『UNIBRELLA』は日常の利便性と非常時の多機能性を兼ね備えながら、環境配慮にも貢献するシェア傘の提案。駅やコンビニ、公共施設といった街なかの手軽に手に入れられる場所に設置されるため、幅広い利用者の生活を豊かにすると同時に、緊急時には誰でもどこでも、安全で快適な場所を提供することが可能。
フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント
日常の中、街のいたるところで手に入れることができ、シンプルなデザインが雨の日に彩りを与える。急な雨を気にせずに出かけられ、晴れの日ではピクニックやアウトドア等で複数の傘を組み合せてサンシェードとして使うことができる。
非常時には、一人用の個人ブースから大人数を囲むスペースまで、大小さまざまなテントやシェルター、パーティションへと姿を変える。同じ色のパーツ同士を繋げるだけで、さまざまな使い方ができるユニットとなり、だれでも、どんな場所でも、簡単に組立が可能。
多機能なシェア傘が街中に設置されることで持続可能なライフスタイルを促進しながら、快適で便利な日常の実現に繋がる。
アイデアに至った経緯
都市や建築といった大きなスケールでのアイデアと同時に、もっと身近で一人一人の手に渡るもののスケールでも検討を進めていました。ただこれといったアイデアが出ず苦戦していたところ、社内レビューで「ビニール傘ってみんなの身近にあるし色々使い道ありそうじゃない?」と意見をいただき、傘をテントやパーティションとして使うアイデアに繋がりました。(Hさん)
普段から使い慣れているものや誰でも持っているもの、組合せで拡張性がありそうといった点から傘のアイデアにつなげていきました。(Nさん)
非常時を避難所で過ごすにあたり必要となるパーティションや間仕切りを、日常生活で誰もが利用して使い慣れているもので、大量に普及しているアイテムの形を変えて作ることができないかと考えました。通常の防災用品は使い慣れておらず組み立てや使用に時間がかかってしまった経験もあり、非常時の混乱している状況の中では、普段から使い慣れているものを使って身の安全や快適性を確保できることが重要だと感じ、本提案に至りました。(Fさん)
平常時と非常時に関わらないデザイン提案をどう考える?
平常時だけを考えるとどうしてもネガティブな要素を解決する対処療法的な側面が大きくなってしまいますが、平常時の便利さや楽しさに重きを置いて、普段からの愛着や慣れこそが大切と考えたことで、日常の延長線上にある防災のアイデアを提案できたかなと思っています。(Hさん)
当初は平常時と非常時で大きく変わるものを考えてしまいがちでした。チームでの話合いや役員にも相談していく中で「平常時と非常時で変わらず同じように使えることがフェーズフリーなのでは?」といった考えに至っています。(Nさん)
一番目指すべきフェーズフリーのデザインは、1つのものの使い分けや単発のアイディアの掛け合わせではなく、変化は小さく地味で、極端な話、変化せずに非常時に普段通り使い続けられるものだと思います。(Fさん)
応募して勉強になったこと、次につなげていけそうなこと
予算書の作成、社内レビュー、提出までの作業スケジュール作成など、3年目になりたての私たちには初めてのことも多く、どうやって1からプロジェクトを進めるのか身をもって学ぶことができ、良い機会だったなと思っています。(Hさん)
研修の目的である「プロジェクト開始時の TODO や流れを知る」や「スケジュールや予算の設定と、計画通りの実行」を経験することができ勉強になりました。(Nさん)
アイデアを実現させるためのディテールなどを同期で議論し合い提案をまとめることができて、とても貴重な機会だったと思います。またコンペ講評会で他の応募者の提案や審査員の考えなどを聞けて、自分たちの提案や人と人とのつながりまで見通したフェーズフリーの思想について改めて客観視でき深く知ることができました。(Fさん)
最後に
このような取り組みを若手社員が経験することで、通常の建築設計業務に留まらず、広い視野を持ち人々の幸せと社会の発展に貢献することに繋げてまいりたいと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました!