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ドキュメンタリー映画「DOMINION」

7月13日にリリースされた映画「DOMINION」を観ました。
同タイトルのSF映画も存在するようですが、今回私が観たのはオーストラリアの工場畜産の実態を描いたドキュメンタリーで、動画配信サービスvimeoにて配信開始された作品です。この作品はAussie Farmというオーストラリアのアニマルライツに関する動画、写真、書類、キャンペーン素材、知識データベースなどを集積している団体によって制作されたもので、ドローンによる空撮、隠しカメラや小型カメラによって映し出された映像で構成されています。ナレーションは、ホアキン・フェニックス、ルーニー・マーラ、シア、セイディー・シンク、キャット・ヴォン・Dといった豪華なメンバー。2005年にアメリカで制作されたドキュメンタリー映画「Earthlings(アースリングス)」の監督であるショーン・マンソンとの共同制作です。アメリカでは$0.99で72時間レンタル、$4.95で購入することができます。この低価格を実現した制作者の多くの人に届いてほしいといった意思のようなものが感じられます。

トレーラーはこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=LpDJlEQsDoA

映像は出だしからかなり衝撃的です。これまでに畜産の実態やアニマルライツに関する他のドキュメンタリーを何本も観てきたので、どのような映像が出てくるかある程度予想はしていましたが、「DOMINION」の映像はその中でも特に衝撃的でした。同様の映画を初めて観る方にとってはさらに衝撃が強いのではないかと思われます。R18+の表示もあります。

ストーリーは、動物を一種ずつ取り上げて、その繁殖から飼育環境、屠殺に至る過程を追っていく形で進行します。劣悪な環境で産まれた子豚がケージの中でもがき苦しんで死んでいくシーン、牛や豚の首にナイフを刺す瞬間や猿らしき動物の頭に斧が振りかざされる瞬間、生まれたてのひよこがまるで紙かのように次々にシュレッダーにかけられていく映像も含まれています。映画を見終わる頃には、電気ショックやガスにより息の根を止めた上で、熱湯につけて皮を剥ぐといった逐一の食肉処理過程を覚えられるのではないかと思うほどでした。一般にケージで育つ鶏よりもよい環境で育てられているとされるフリーレンジ(放し飼い)の鶏が、実際にはどのような環境に置かれているのかを知ることもできます。

また豚、鶏、牛、魚といった食卓に上がる動物の映像だけでなく、羊、ミンク、ウサギ、キツネ、犬などを利用した衣服、娯楽、動物実験、ペット産業にも焦点が当てられています。たとえば羊毛を刈るというのは、人間が髪の毛を切るような感覚だと思っている方は多いと思いますが、実際はそのような苦痛を伴わない行為ではないことがわかります。
動物に対する蹴る、殴る、投げつけるといった人間による暴力行為を撮った映像も多数含まれており、一体何がそのような行動を起こさせるのか終始疑問しか感じませんでした。たとえ限られた場所で行われた行為を寄せ集めた映像であったとしても、実際にそういった行為があるということは許されてはならないと思いますし、そのような行為を行う人には早急にケアが必要なのではないかと思えてなりません。

タイトル通り、人間のDOMINION(支配)に疑問を投げかける作品です。私の拙い文章では表現しきれない残酷さと向き合わされる映像ばかりですが、これは何も特別なことではなく、動物性製品を使用する陰で毎日起こっている現実です。基本的にオーストラリアを中心に撮られたものですが、日本を含む世界各国の映像も出てきます。動物性製品を普段何気なく買うということは、このような残酷な行為を支援していることと同じなのだと思い知らされます。畜産の実態や動物虐待のシーンに少しでも抵抗を感じるならば、動物性製品を買わないという選択はごく自然なことでしょう。動物性製品を買わないという選択は、難しいことでもなければ、初めから完璧である必要もありません。

“Never doubt that a small group of thoughtful, committed citizens can change the world; indeed, it's the only thing that ever has”(少数の思慮深く献身的な人たちが世の中を変えていけるということを疑ってはならない。実際、そのような人たちだけが世の中を変えてきたのだ。)

これは、オフィシャルサイトの「セルフケア」のページ(http://www.dominionmovement.com/self-care)に記載されている名言です。このページには、映像を観ることによって感じる苦痛や怒り、悲しみ、無力感といったものにどのように対処すべきかが記載されています。(和訳をする時間がありませんが、このような映像を観た後にはセルフケアが大切だとされています。)

日本語字幕付きでも近々上映されるというツイートを目にしましたので、興味のある方はぜひ視聴されてみてはいかがでしょうか。

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追記:2018年10月の時点で、YouTube上で日本語字幕付きで視聴可能になったようです!


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