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複雑な小説『鳩の撃退法』の映画版を観た 2022年4月28日(木)

『鳩の撃退法』という小説がある。

小説家・佐藤正午の今のところベストだと個人的には思っている。
上下巻ある長い小説を実は単行本で2回、文庫が出た時も購入して1回、計3回読んだことになる。
巧みな構成とうますぎる文章、自身の分身のような皮肉屋な主人公の造形が何度読んでも単純に面白く、読むたびにいくつかの発見があった。

その「ハトゲキ」が映画化されるということを知った時は驚いたのだが、劇場で見損ねてようやくNetflixで配信されているのを観ることができた。

主人公・津田伸一に藤原竜也。
実はこの主人公に藤原竜也は無いだろうというのが一番の懸念だった。
小説を読んでいる時のイメージは強いて言えば斉藤和義であった。
佐藤正午に雰囲気が似ているせいもある。

藤原竜也は頑張っていたし、実際悪くなかった。
映画自体も複雑な構成であったが、あの小説をよく脚色したと思うほどの出来だった。
改変した部分も良かったし、役者も演出も良かった。お見事だった。

ただ、自分はこの長い小説を3回読むほどの人間なので小説の方が面白かったかなと思う。