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Amazon Prime Videoで観れる!あまり知られていないマイナーSF映画 [6選+α]

こんばんは ぷらねったです
Amazon Prime Videoに存在し 大量の映画の中に埋もれ気味な おもしろいSF映画たち
今回は「Amazon Prime Videoで観れる!あまり知られていない(?)マイナーSF映画」というテーマで おすすめのマイナーSF映画と 最後にオマケで短編1本を紹介させていただきます


1.武器人間 (2013年)

監督は リチャード・ラーフォースト
戦時中の改造兵士をテーマに描かれる オランダ・アメリカ・チェコ合作のホラー映画です
SFとしての紹介はほとんどされていない作品ですが 紹介させていただきます

舞台は1945年 第二次世界大戦末期の東部戦線
ある密命を受けたソ連軍の偵察部隊は カメラを携えた記録係と共に ナチスドイツの占領地域へと向かいます
やがて一行は 古びた教会で謎の大虐殺が行われた現場に遭遇し その地下で不気味な施設を発見します
そこは 禁断の実験に取り憑かれたフランケンシュタインの末裔であるナチスのマッドサイエンティスト ヴィクター・フランケンシュタイン博士が最終兵器として死体と機械を合体させ 不死身の“武器人間”を製造している秘密工場であった...というストーリーです


オランダで主にCMディレクターとして活動してきた監督のリチャード・ラーフォーストにとって 今作が長編映画監督デビュー作となります
原題は「Frankenstein's Army」であり 元々は「Worst Case Scenario」というタイトルが予定されていたといいます
作中では フランケンシュタインの末裔のマッドサイエンティストが生みだした 不死身の兵士が描かれます


登場人物の中にはカメラを持った記録係がいる設定なので その人物が戦争の様子を撮影しているような 臨場感のあるモキュメンタリー的な映像に仕上がっています
この記録係が撮影した映像や 会話の内容のみで状況が展開していくような物語は 内容こそ違えど 1999年のホラー映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の演出を彷彿させます
とにかくさまざまな種類のデザインが施された"トンデモ改造兵士"が多数登場し それだけでも楽しむことができる内容です
荒唐無稽な改造兵士も ナチスや戦時中というテーマと合わさることで リアリティーさえ感じさせます


主な撮影はチェコで行われており 霞んだ色味で映し出される荒涼とした風景も 見ごたえ抜群です
ちなみに 2021年のゲーム「バイオハザード ヴィレッジ」に登場する怪物シュツルムのデザインが あまりにも本作品に登場する一部の兵士に似ているということで リチャード・ラーフォースト監督側から盗作に関する訴訟がされたそうです


それはともかく...見ごたえのある演出で スプラッター要素やグロテスクな描写も多数登場する本作品は 決して万人ウケする内容ではありません
日本でもつい最近 1日限定で映画館での上映もされており カルト的な人気を誇っています
独特の魅力があふれる怪作なので 気になる方はぜひ観てみてください


2.ディアマンティーノ 未知との遭遇 (2018年)

監督は ガブリエル・アブランテス, ダニエル・シュミット
元ポルトガル代表のサッカー選手を主人公に描かれる ポルトガル・フランス・ブラジル合作のコメディ映画です
SFというよりはファンタジー寄りな内容ですが SF要素を含んだ奇妙な映画なので紹介させていただきます

ポルトガル代表の天才サッカー選手であるディアマンティーノは 試合中に幻想世界へ入りこみ 好プレーを見せるスーパースターでした
そんな中でむかえた2018年 国の期待を背負ったロシアワールドカップの決勝戦 スウェーデン戦に臨みました
そして試合終了の間際 0対1で負けている状況で迎えたのは ペナルティーキックの大チャンス...彼はそこでミスしてしまったことにより メディアや国民からのバッシングを受け 引退を表明させられてしまいます
酷く落ち込んだディアマンティーノは さまざまな場所を放浪します
しかしその結果 何故かマネーロンダリング疑惑に晒されたり 謎の実験に関わることになったり 未知なる経験をしていく事になる...というストーリーです


監督にクレジットされたガブリエル・アブランテスは「石像の素敵な大冒険」というおかしな内容の映画も作っている人物です
作中では 国民的スーパースターだったサッカー選手の男がたどる 奇妙な体験が描かれます
ゴールを決められないことで犯罪者のような扱いをされ ヒステリックな双子の姉たちからは怒鳴られる...観ていてかわいそうになるような主人公です
この主人公ディアマンティーノは サッカー界のスーパースターである ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドにインスパイアされた人物設定だそうです


役を演じたカルロト・コッタは なぜかサッカーの指導は受けず『どうやってシックスパックに割れた腹筋を見せるか』のトレーニングに 撮影の数か月前から取り組んだといいます
トレーニングを積み 炭水化物をできるだけ断った結果 割れた腹筋を見せつけることに成功しています
しかしその代償に サッカーのシーンは技術不足が露呈しています...
SF映画の紹介チャンネルとしては話が大きく逸れましたが 本作品ではクローン製造など SF的な要素も物語に絡んでくるのでご安心ください


主にポルトガルの社会問題を風刺した奇妙な世界観で サッカー以外知らずに生きてきたディアマンティーノが おかしな世間を知っていく 本作品
一風変わった怪作になっているので ぜひ観てみてください


3.死の谷間 (2015年)

監督は クレイグ・ゾベル
マーゴット・ロビー主演で描かれる アメリカ・スイス・アイスランド・ニュージーランド合作のポストアポカリプスSF映画です

舞台は 核戦争で文明が崩壊した後の世界
若き女性アン・バーデンは家族と一緒に農業を営んでいましたが ある時家族が生存者を探すために旅立ってしまったため 今は孤独に暮らしています
アンが暮らす地域は 岩壁に囲まれているために放射能汚染から免れており 土壌も肥沃で 水の供給も十分すぎるほどでした
そんなある日 アンはジョン・ルーミスと名乗る生存者に遭遇します
しかし彼は放射能汚染された水に誤って浸かってしまい 命の危機にさらされてしまう...というストーリーです


ロバート・C・オブライエンの原作を元に映画化された本作品は アンドレイ・タルコフスキーの『惑星ソラリス』・『鏡』・『ストーカー』を念頭に置いて制作されたとされます
当初主演予定だったトビー・マグワイアは出演していませんが 製作にクレジットされています
アパラチア山脈が舞台という設定ですが 実際はほとんどがニュージーランドで撮影されました
序盤から自然に囲まれた美しいロケーションが印象的で 切ない音楽を背景に ほとんど人のいない場所が描かれます
当初は「アノン」のアマンダ・サイフリッドが出演予定でしたが スケジュールの都合でマーゴット・ロビーに交代しています


作中では 人種・宗教観の異なる2人が 少しずつ相手を理解しながら共同生活を送っていくところから物語がはじまります
設定は違えど「オデッセイ」のように なんとか工夫して生きる術を模索するような展開で 物語は進んでいきます
人間関係を中心にして ゆったりとしたペースで進むため 派手な展開こそ少ないですが きっと気に入る方も多いと思います
今作に出演したクリス・パインはニュージーランドでの撮影終了後に パブに寄ったあとで警察に車を止められ 飲酒運転の罪で起訴 その後釈放されたという経緯があります


それはともかく あまり知られていない印象の 魅力的なポストアポカリプス世界が描かれる 本作品
余韻を残すようなラストまで 良い空気感が漂っています
個人的にはとても好きな映画なので ぜひ観てみてください


4.ピエロがお前を嘲笑う (2014年)

監督は バラン・ボー・オダー
ハッカー集団をテーマにした ドイツのスリラー映画です
SFと言ってよいか微妙なところですが おもしろい作品なので紹介させていただきます

警察に出頭したのは"Who am I"と名乗る 天才ハッカーのベンヤミン
彼は世間を騒がせ 殺人事件への関与を疑われ 国際指名手配された人物でした
そのベンヤミンは自らの過去を自供しはじめ マックスという友人をきっかけに生まれたハッカー集団についての謎が明らかになっていく..というストーリーです


意味深なタイトルは 作中に登場するハッカー集団の名前が由来になっています
映画は取り調べのシーンからはじまり 主人公が自分の生い立ちから語り始めるところから 物語が展開されていきます
映画公開当時 ドイツでは大ヒットしたそうで スリラー映画としては 1980年代以降はじめてチャートで1位を獲得した映画だったそうです


色々な映画を思い出させる内容で 例えば「ユージュアル・サスペクツ」,「ドニー・ダーコ」,「ファイトクラブ」など...それらに通じる内容の描かれる本作品は ワーナーブラザーズによってアメリカ版のリメイクも検討されているそうです
ラストまで見ごたえのあるおもしろい映画なので ぜひ観てみてください


5.アステロイド・シティ (2023年)

監督は ウェス・アンダーソン
砂漠にたたずむ町を描く 不思議なSF映画です

舞台は1955年
アメリカ南西部にある砂漠にあるのは 人口87人の小さな町"アステロイド・シティ"
この町は 隕石が落下してできた 巨大なクレーターで知られており もうすぐジュニア宇宙科学大会が開催されます
大会のために カメラマンのオーギー・スティーンベックの息子であるウッドロウをはじめ 科学賞を受賞した5人の優秀な子供たちと その家族が街を訪れました
しかし 突如宇宙人が到来して人々は大混乱に陥り 軍によって街は封鎖されてしまう...というストーリーです


製作費は 2500万ドル
「犬ヶ島」などで知られるウェス・アンダーソン監督らしい おかしな会話劇が特徴のSF映画です
内容としては 自販機で土地を売っていたり 宇宙人が登場したり...おかしな出来事が同時多発的に起きるので 情報量がすさまじいです
本作品はメタ構造になっており モノクロのシーンでは基本的に 作品の内容についての議論が交わされます
カラーで映しだされる砂漠の街"アステロイドシティー"でのシーンがメインで これらが交互で描かれる形式になっています


撮影はスペインにて行われ セットを建設しておこなわれました
ウェス・アンダーソン節が炸裂するカメラワークや どこを切り取っても写真のように美しい映像
衣装 小道具から大道具 そしてセットのデザインまで 強いこだわりを感じます
また やたらと俳優陣が豪華なのもおもしろく スカーレット・ヨハンソン,ティルダ・スウィントン,トム・ハンクス,エドワード・ノートン,ウィレム・デフォーなどが出演しています


撮影は2か月間行われ 毎晩宴会が開かれるほどに理想的な撮影現場だったそうです
この時 スカーレット・ヨハンソンのギャラは1週間あたり4131ドルと スターとしてはかなりの安価だったと言われています
また スティーブ・カレルが演じている役は ウェスアンダーソン作品の常連であるビル・マーレイが演じる予定でしたが こちらはコロナウイルスへの感染によって交代となっています
それでも回復後に撮影現場を訪れたそうで 映画の予告編だけには登場しているという 微笑ましいエピソードがあります


それはさておき...ウェス・アンダーソン監督作品の中でも特に複雑な演出がされていて ハイスピードなセリフや奇抜な作風 そして情報量の多さが凄まじいので 合わない方もいるかもしれません
しかし天才の脳内を視覚化したような映像は 圧倒的な個性に溢れています
物語を追いかけ過ぎず 雰囲気に浸って観ることをおすすめしたい 本作品
砂漠の奇妙な町を描く 一風変わったSF映画となっています


6.未来の想い出 Last Christmas (1992年)

監督は 森田芳光
工藤静香も出演する 日本のSF映画です

未来の記憶をもったまま 過去へ戻ってきてしまった 主人公の遊子と 友人の銀子
人生をやり直したいと考える彼女たちは 思い通りの人生を追いかけようとしますが 失敗
3回目の人生をやり直すことに...というストーリーです


藤子・F・不二雄の原作を基に 映画化された作品です
特撮シーンは限られていますが 特技監督は 「シン・ゴジラ」などでも知られる 樋口真嗣がつとめています
主題歌はお馴染みのクリスマスソングである ワム!の「ラスト・クリスマス」です
また シンディ・ローパーの「Time After Time」や 佐野元春の「ガラスのジェネレーション」など 往年の名曲が多数使用されているのが特徴です
少し難のある脚本も こういった名曲の数々で押し切っている印象もある というのが正直なところです


また ツッコミどころの多い俳優陣にも注目です
工藤静香,清水美沙のダブル主演に加えて それぞれのパートナーは デビット伊東,和泉元彌
ちょっとした役にも 唐沢寿明や鈴木京香,蛭子能収 さらには原作者の藤子・F・不二雄が登場
また お笑いコンビである爆笑問題で知られる 太田光の妻であり 現在は芸能事務所タイタンの社長である太田光代も 松永光代という名義で出演しています
それだけでなく パーティー会場のシーンには赤塚不二夫,石ノ森章太郎,永井豪,さいとう・たかを,藤子不二雄Aといった 大御所漫画家たちも まさかの出演を果たしています
こういった俳優遊びは ストーリーにも大きな影響を与えており 和泉元彌の狂言シーンなども作中に登場するのです


その他にも ビンタをかます工藤静香や 飲み帰りに牛乳を飲むデビット伊東など 決してコメディではないのに 笑ってしまうようなシーンが満載
良くも悪くも この時代でなければ出来なかったと言える 本作品
奇妙なタイムトラベル映画を ぜひ観てみてください


番外編.銀河健康センター (2024年)

監督は 坂田敦哉
サウナをテーマにした 日本の短編映画です

舞台は 荒廃した砂の惑星
そこに寂しく佇むのは サウナ施設の"銀河健康センター"でした
水風呂の枯れたサウナに客は訪れず 看板娘のトトは 文字通り看板を磨くだけの退屈な日々を過ごしていました
そんなある日 大量の水を積んだ宇宙船が不時着する...というストーリーです


作中では 水を求めて地下を掘り進める様子が描かれます
荒廃した砂の惑星という舞台設定ですが これらは鳥取砂丘において撮影が行なわれたそうです
日本のSF映画は もっと鳥取砂丘を活用したほうが良いと思わされる 魅力的なロケーションになっています


また"ロウリュくん"なる可愛いロボットも登場し 短編ながら意欲的な内容になっています
18分で終わる作品なので あらすじを読んで気になる方は よければ観てみてください


あとがき

今回は「Amazon Prime Videoで観れる!あまり知られていないマイナーSF映画」というテーマでの おすすめSF映画の紹介でした
気になる映画があれば ぜひウォッチリストに入れてチェックしてみてください
最後までご覧いただき ありがとうございました

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