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京都と猫と、まだ見ぬ色と

"京都という町をつくる様々な色。多くの日本人が持つ京都への憧れと、そこに住む人達の小さな暮らし...それぞれにある色を感じていただけたら幸いです。"2022年発刊の本書は自分だけの色を探す日本画家と飼い猫の雪、そして町の人々を七つの伝統色で描く七つの物語。オールカラーコミック。

個人的には京都、猫という好きなワードと雰囲気にひかれて手にとりました。

さて、そんな本書はプロローグとして"自分だけの色を見つけるんだ"と言い残して行方知れずになった画家の兄の話から始まり、艶紅、小豆色、甕覗(かめのぞき)、支子色(くちなしいろ)、千歳緑、銀鼠(ぎんねず)、月白と七色の伝統色をテーマに、古本屋に通う男子大学生、東寺の弘法市を楽しむ女子大生、剣道大会に負けた相手との銭湯通い、鴨川での不思議な出会い、抹茶嫌いな外国人の物語が【それぞれ、京都の日常の色と関連付けられて語られた後】に、プロローグに繋がる第七話で終わるのですが。

まず、オールカラーコミックというわけで、例えば艶紅色"赤"に意識を向けただけでも、本書で紹介される花街の提灯、三大奇祭のひとつ『やすらい祭り』神社のひめだるま、東洋亭の丸ごとトマトサラダ等々、言われてみれば!と京都在住者としても【平熱の京都の眺め方が変わる様な感覚】が気持ちよかった。

また作者の作品は初めてでしたが【絵もとても巧みで】猫好きとしては、各エピソードに当時する猫の雪の仕草、存在感に"ああ、わかってるな"と、こちらは言語化するのは難しい?安心感を感じたり。

情報ではなく『色彩で響く京都本』として、また世界の眺め方が変わる一冊としてもオススメ。

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