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ハサミ男

"わたしはアルバイトから帰ると、毎晩、時間をさいて、ハサミの先端を棒やすりで研いだ。数日たつと、ハサミの先端はアイスピックのように尖り、鋭くなった。これで十分だろうか。"1999年発刊の本書は著者のデビュー作にしてメフィスト受賞、2005年には映画化もされた傑作ミステリ。

個人的には、ミステリ好きな友人に熱烈にプッシュされて手にとってみました。

さて、そんな本書は既に2人の美少女を殺害した、研ぎあげたハサミを首に突き立てる連続殺人犯『ハサミ男』"わたし"が自分の手口を真似た殺人が起きたことから、まさかの探偵役として真犯人の調査をはじめるわけですが。

約500ページの本書【残り100ページからラストまでのまさかの展開】にはやはり驚かされました。多少なりと読み進めながら違和感はあったのですが。ああ!こうくるのか!と伏線のまとめ方は見事の一言。

また、何度も自殺を繰り返しては失敗して『医師』と面談する『ハサミ男』"わたし"のキャラクターが、殺人犯であるにも関わらず、どこか日常的な生真面目さがあって、生理的な嫌悪感よりは【何故か魅力的に感じてしまう】のも不思議な読後感でした。(残念ながら著者は既に若くして夭折してしまっていますが。続編とかあるなら読みたかった。)

ミステリ小説の傑作を探す方はもちろん、心理小説が好きな方にもオススメ。

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