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アフリカ人学長、京都修行中

"私は北野天満宮で(中略)ブリコラージュを思い出しました。1000年前の平安装束を身にまとっているのはアフリカからきた大学の学長。そういう遊びの要素から、何か生まれるかもしれないという試みが自然とできるのです"2021年発刊の本書は京都に飛び込んだ外国人学者による【約30年の悪戦苦闘】の異文化理解記録。

個人的には、著者のインタビュー記事を別に拝見し、興味を持ったことから手にとりました。

さて、そんな本書は、たまたまアフリカのマリ共和国から日本は"いけずな町"京都に住み続ける事になった著者が、自身の京都大学での院生時代から2018年から京都精華大学で学長をつとめる事になった今現在までに【感じてきた事や進行形で感じている事】を専門分野の"人びとがどのように空間や場所を生活に利用しているな、そこでどのようなコミュニティが形成されているか"『空間人類学』に絡めながら、京町屋やイノベーションを事例に紹介してくれているわけですが。

まず、おなじく"よそさん"の立場で最近京都に住むことになった1人として、著者の率直な言い回し。例えば"私が考える京女のイメージは、一言で言えば、『ややこしい』です。"と語るような。京都で受けた衝撃や暗黙に求められる【高度なリテラシー】に関しては、ひしひし、ひたひたと実感し始めている所なので、苦笑しながらも共感しきりでした。

また、とはいえ。本書は著者の専門領域『空間人類学』に依すぎる事もなく、一方で何かしら京都ガイド的な"情報"が沢山のっているわけではなく、いわゆるエッセイといった感じで。読書に費用対効果【コスパを求める方には不向きかもしれません】が、そんなことは置いといて、著者の"サコさん"の人間的な魅力が国や人種を超えて強く伝わってきて、読み進めながら自然にファンになってしまいます。

京都に"よそさん"として他県から住む事になった人へ。また京都の持つ魅力をあらためて発見あるいは確認したい人にもオススメ。

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