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横浜駅SF 全国版

"トンネルの上部には、『青函トンネル』と書かれた金属製のプレートが穿たれている。北海道への横浜駅上陸を阻止する、JR北日本の最重要防衛点だ。"2017年発表の本書はTwitter上で始まり第1回カクヨムWeb小説コンテストSF部門大賞受賞、書籍化、漫画化もされた斬新設定SF第二弾、全国版。

個人的には、SF好きのお客さんにすすめられて手にとりました。

さて、そんな本書は冬戦争の続く中【横浜駅がついに自己増殖の能力を獲得し、膨張を開始して】数百年後の日本、JR北日本、JR福岡2社が独自技術で防衛戦を行うも、既に本州の99%が横浜駅で覆われた世界『全国版』として、瀬戸内・京都、群馬、熊本、岩手を舞台にして、本書では短編集的に横浜駅と内外で抗う者、横浜駅内"エキナカ社会"でSuikaを埋め込まれて管理される者たちの姿が、読みやすい文体に【ローカルネタ、地方ネタを豊富にぶっ込みながら】描かれているのですが。

住んでいる京都編が読みたかったので、前作を読まずに第二弾から手にとったひねくれ者の私ですが。それでも【自己増殖する横浜駅】表紙にも登場している【野生の自動改札】という言葉や設定の意外さに、やっぱり【何でもありが魅力のSFはこうじゃないと!】と、あっと言う間に作中世界の虜になってしまいました。(結果、前作も読了後にすぐ購入)

また、鉄道ネタの方はそれほど詳しくないので残念ながらあまり気づけてないと思うのですが。横浜駅に飲み込まれてしまっても、都市の記憶から【格子状に生成された】我が京都、またそれ以外ても何度も訪れた熊本や岩手も含めてローカルネタの方で充分に楽しませていただきました。

鉄道やローカルネタが好きな方、また斬新な設定のSFが好きな方にもオススメ。

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