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僕が批評家になったわけ

"では、筆者にとって批評とは何か。とりあえず、『ことばで出来た思考の身体』といっておく。だから、大事なのは、まず、『自分で考えること』である。2005年発刊の本書は、文学から社会時評まで幅広く批評した著者による批評とは何か、評論とは?を自由に考察した一冊。

個人的には自分のアウトプット、自己満足の為に毎日、拙い"感想文"を好き勝手に書いているのですが。SNSなどで全員【批評家気分にはなれる】時代、プロの批評家は一体どんな事を考えていたのだろうか?と興味を覚えて手にとりました。

さて、そんな本書は20年以上批評を書いてきた著者が、自分用に決めた【批評とは何か】を個人的なきっかけから魚と網、山の高さと広さ、地下一階から二階、スクリーンといった捉え方、そして歴史や対談、手紙、日記、人生相談や漫画と多岐にわたって語っているわけですが。

まず、三島由紀夫や寺山修司、岡潔と小林秀雄の対談に【正直さやウソのないことばとの出会い】を見出している視点が、私自身が雑誌での対談インタビューや対談本を好んで手にすることから納得する感覚がありました。

また、批評が【重たく難解だった】60年〜70年代から、80年代から2000年にかけて【やさしく(たくましい)平明さを伴って】変遷してきたとして、養老孟司の【理系から文系への変化】や内田樹の【電子世界での発見】についても述べているのですが。平明さの必要性に批評が【誰もが、いつ、どのような出発点からも、どんなルールででも参加できるゲームだから】と気づきを見出しているのも興味深く感じました。

批評について自由に思考している本を探す人へ。また本好き、読書好きな人で既読本に新鮮さを感じたい人にもオススメ。

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