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新訂 孫子

"孫子曰く、兵とは国の大事なり、死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。"中国最古にして最もすぐれた兵書『孫子』十三篇の全訳である本書は原文である漢文、その読み下し文、口語訳に分かりやすい注釈をつけた新訂版。戦術論にとどまらない普遍的名著。

個人的には主宰する読書会の課題図書として、学生時代ぶりに再読しました。

さて、そんな本書は春秋時代の孫武、あるいは戦国時代の孫臏のことばに伝承をもまじえて定着したとも言われ、前述の通り十三篇にわかれる中で、前半の六篇までは『戦略論』として、実際に【戦争をはじめるまでに熟慮すべきこと】が心構えから軍費や動員補充、謀略外交について語られた後、残りの七篇では『戦術論』として【進軍にあたっての注意点】行軍の仕方、陣地配置、火攻めの仕方などが事細かに、そして間者(スパイ)による情報収集の大切さを語って終わるわけですが。

やはり、かって光栄(現コーエーテクモゲームス)の歴史シミュレーションゲーム【三国志や信長の野望にハマっていたり】また田中芳樹の銀河英雄伝説や原泰久のキングダム好きとしては、文字を追っているだけで、例えば"風林火山"を見つけて武田信玄を浮かべたり、様々なゲームや映画、漫画の名場面やエピソードが浮かんできて、終始ニヤニヤしてしまった。

一方で、本書は簡潔な文体で書かれているので、ただ読み終えるだけなら意外にもあっというまなのですが。かえって、儀礼や饒舌さを廃し極めて【現実的な言葉だけが研ぎ澄まされたように残って】中国から日本に伝えられて、何百、何千年と語り継がれて『今も読める』ことが何とも感慨深い。とあらためて思いました。

私のような歴史シュミレーションゲームや、戦記もの作品が好きな方に、そして気軽に読める名著としてもオススメ。

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