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火星の人

"うん、オーケイ。ぼくはその答えを知っている。一部はぼくが象徴しているもののためだろうー進歩、科学、そしてぼくらが何世紀も前から描いてきた惑星間宇宙の未来。だが、ほんとうのところは、人間はだれでも互いに助け合うのが基本であり、本能だからだと思う。"2014年発刊の本書はWEB発、映画化もされた傑作ハードSF。

個人的には、2015年に『オデッセイ』として、マット・デイモン主演で映画化された時から興味があったのですが。今回ようやく手にとりました。

さて、そんな本書は不幸な事故により火星に一人置き去りにされた宇宙飛行士のマーク・ワトニーの生存をかけた孤独な奮闘と、生きていることに気づかないで見捨ててしまった彼を救いだそうとする他クルー他、周囲の努力を描いているわけですが。

まず印象に残るのは、"ログ"、ワトニーの日々の生存記録の【底抜けの前向きさでしょうか】宇宙飛行士に選ばれるくらいだから、普通の人以上に心身共に優れているとしても、何度も何度も"火星に殺されかけられる"中での(少なくともログ上から感じる限りはですが)死と隣り合わせ状態でも失わないユーモアと鉄メンタルぶりにはやはり驚かされます。

一方で、ある種"何でもあり"のSFにおいて、本書は火星人の襲来とか、突飛すぎる設定で展開するのではなく、あくまで【ワトニーの火星でのリアルサバイバルにシンプルに焦点を絞って】それを支えるクルー、アメリカや中国の宇宙関係者が協力する姿【人類の善性】に重きを置いて終始描いているのも良かった。ハラハラしつつも久しぶりに気持ち良い読後感。(=ページをとじた後も実際の火星探査計画をネットで調べたりしてしまいました)

宇宙版ロビンソン・クルーソーの様な極限状態でのサバイバルが好きな方、NASAオタクとも言える著者の描くリアルSFに興味ある方にオススメ。

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