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22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる

"今の選挙と民主主義の故障の構造を探り、選挙制度を作り変えられないか内側から闘争したり、独立都市・国家へと逃走して新しい政治制度をゼロから手作りしたり、無意識データ民主主義の構想をデザインしたりしてみよう"2022年発刊。本書は『異常を普通に』病んだ民主主義を再考している良書。

個人的には、友人に薦められて手にとってみました。

さて、そんな本書は夜はアメリカでイェール大学助教授、昼は日本で半熟仮想株式会社の代表をしている(いつ寝てるんだw)著者が『大事だと頭ではわかる。だが、心がどうにも動かされない』政治を『放っておいても考えたり動いたりしたくなるようにできないだろうか?』と、今世紀に入って資本主義は加速する一方【敗北や後退を続ける民主主義】のルール自体を考える。と、まず第1章で民主主義の残念な現状をデータで明らかにした上で、3つの再生のための処方箋として【現状と向き合い、調整や改良を加えていく】『闘争』いっそ諦めて【公海に独立国家をつくろう】『逃走』さらには民主主義を再発明しようと【民意データ源から意思決定アルゴリズムのデザインを行う】『構想』として"無意識民主主義"を第二章から四章にかけて提案しているわけですが。

著者と同じく、現状のままでは若者の投票率が上がったり、仮に誰が政治家になっても何も変わらない。と日本の政治システムに閉塞感を覚えている私にとって、概ね【著者の主張には共感するところが多く】(おそらく著者も望んでいるであろう)本書を課題図書にして読書会などで他の方々とも意見を交わしたくなりました。

また、一方で。3つの提案の中では著者自身のノリのよい書きっぷりが感じられる2つ。『逃走』からは事例に挙げられているイタリアの幻の独立国家"ローズ島"や自治体乗っ取り事件をネットフリックスで観てみようか。とか、『構想』の果てに政治家は人間でなくても『ネコやゴキブリでも』と実際の海外事例(!)が紹介されていたり。と【堅苦しくなく、楽しんで読める】工夫が随所に感じられるのも良かったです。

今の日本の政治、民主主義に閉塞感や絶望を感じている方にオススメ。

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