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作家の値うち

"あまりにも下らない作品が世間に流布している。その状況をシニカルに眺めるのではなく、進んで疑義を呈して覆す強い意志こそが、書き手と読み手の双方に好ましい緊張をもたらすのだ、ということを私は信じている"2000年発刊の本書はワイン評価方法を参考に現役作家の作品を点数で紹介し、物議を醸しだしたブックガイド。

個人的には別著者による令和版が最近になって発売されたのをキッカケに本書の存在を知り、手にとってみました。

さて、そんな本書は研究者にして文芸評論家の著者が"文芸、特に小説にかかわる評価の質低下"に危機感を覚えて、あえて本来なら小説に"なじまない"ワイン批評スタイル『パーカーシステム』を適用、当時の純文学と大衆文学の現役主要作家を五十人ずつ、全百人の主要作品を【自ら全て読了して百点満点で採点】90点以上は『世界水準』そして29点以下は『人前で読むと恥しい作品』と手厳しく採点しているのですが。

まあ、それぞれの好きな作家や知っている作家の作品がどう採点されているか?の【ページをめくる度のドキドキ感】が本書の醍醐味だと思うので、個別作家(作品)への言及は避けますが、また約20年前の出版当時に低評価を受けた【作家達がどう感じたか】もさておき、読者の1人としては『作者は自慢話をしたかっただけらしい』『以下すべて20点以下、測定不能』『担当編集者は作者にカルビ肉でも送るべきではないか』等の自由奔放なコメントにゲラゲラ笑ってしまった(ごめんなさい)

また、2021年現在。若い方のTikTokでの書籍(小説)紹介動画で重版がかかる流れにベテラン書評家が苦言を呈したのが話題になったりしてますが。その事に【のっかるような直接的な賛否もさておき】作品の多様性こそが文芸、小説の豊かさだとすれば、それぞれの【読み手の立場で批評や感想が自由にある状況】こそが、文芸、小説界の豊かさを担保するものだと私は考えているので。本書も含めて『いいぞ!もっとやれ!』的な傍観主義だとあらためて自覚したり。

20年前の人気作家、作品を懐かしく楽しみたい方へ、またハルキストの方々にもオススメ。

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