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くたばれインターネット

"こういったすべてが進行する間にもフェイスブックは金を稼ぎ続けていた(中略)グーグルは金を稼ぎ続けていた(中略)相応しい広告を選び出し、将来の搾取の準備のために顧客データを収集していた。"2019年日本紹介の本書は自費出版からスタートし、各国ベストセラーになった癖あるSNSゴシップコメディ。

個人的にはSNSで写真や映像、そして音声と【何でも露出し、饒舌なのが是】と洗脳された雰囲気にげんなりしていることからタイトルにひかれて手にとりました。

さて、そんな本書はトルコ系アメリカ人である著者が本書刊行のために【自分で出版社を立ち上げて!】2016年に発表したもので。一応は"小説"として北米におけるリベラルの中心地、サンフランシスコに暮らす"ある程度成功した漫画家"アラフォー女性アデリーンを主人公にSNSに慣れない彼女がYouTubeやTwitterに振り回される姿を描いているのですが。

まあ、そんな小説の展開より【『真正メラニンは見つからない』『真正メラニンでいっぱいだ』と反復し】饒舌に脱線しまくった癖ある文体で(=読みづらいとも言う)の歴代の政治家、スティーブ・ジョブスやマーク・ザッカバーグを始めとするIT経営者への批判というか【罵詈雑言、名誉毀損や性差別、人種差別をものともしないブラックジョーク的な書きっぷり】がロックというかとにかく凄い。(だから他社持ち込みでは無理と考え、自ら出版社つくったのだろうか?)

また一方で、作中『ネットって変な世界よね、誰もが何に関しても我こそは十字軍みたいに振る舞うでしょ?』とか『ネットが文化を様変わりさせ、新たな表現手段になったというけれど、結局は"一層多くの人がネットでテレビの話をするようになっただけ』といったセリフに、著者の本書の原題『I hate the internet』通りの【ネットへの距離感】を感じるわけですが。さりとて懐古主義や保守というよりは【世界中を覆い尽くす欺瞞への怒り(多分)が端々から感じられて】変な自粛警察が横行したり、トレンドの並びが芸能人ばかりなのは決して日本だけの話じゃないのだな。。と奇妙な親近感を覚えました。

役に立つ!感動した!(=泣いた!でも可)といった宣伝文句の本に飽きた誰か、またはインターネットやSNSの負の影響にやれやれな人にもオススメ。

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