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図書館の神様

"垣内君はみんなを見回しながら、堂々と語った。『文学を通せば、何年も前に生きてた人と同じものを見れるんだ。見ず知らずの女の人に恋することだってできる。自分の中のものを切り出してくることだってできる(略"2003年発刊の本書は、文芸部顧問の"私"が出会いから再生していく物語。

個人的には、知り合いの図書館関係者のコロナ禍における苦労話を伺っている中で、本書のタイトルに惹かれて手にとりました。

さて、そんな本書は"清く正しくまっすぐな青春"をバレー部でおくってきた(と思っている)"私"が挫折により【全てに投げやりになって新米教師】として赴任した高校で、意図せずになった文芸部の顧問として出会った"全てに正しい"たった1人の部員、垣内くんと出会って変化していくのですが。

なんでしょう。作者の意図的?とはいえ"私"の教師としてのやる気のなさが目立つので、垣内くんの立ち振る舞いが【とにかく大人びてる】のがまず強く印象に残りました。(垣内くん。一体君はどんな大人になるのだろうか。。)

一方で物語としても、派手さはなくも他者からの承認欲求(よく言えば期待)から解き放たれた事での迷走をへて、最後に力強く歩み出す"私"の姿は【普遍的な魅力があって】元気づけられる読後感でした。

さっと読める本を探す人や、古典文学、図書館好きな人にオススメ。

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