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世界から猫が消えたなら

"あらためて僕は今の状況を整理してみた。世界から何かをひとつ消すことで、1日の命がもらえる。三十個で一ヶ月。三百六十五個で一年。なんて簡単な取引だ。だいたいこの世の中は、くだらないものとガラクタに満ちている"2012年発刊の本書は本屋大賞ノミネート作にして、映画化もされた『僕と猫と陽気な悪魔の7日間を描く』現代のファウスト的一冊。

個人的にはネコ好きの一人として気になりつつも、映画化もされるとかえって気持ちが遠ざかってしまっていたのですが。ふと、手にとりました。

さて、そんな本書は主人公の僕が冒頭で余命わずかである事を宣告されて家に戻ると、ハイテンションな自分そっくりの悪魔があらわれて【世界から何かを消す。その代わりにあなたは1日だけ命を得る】と取引を持ちかけてきて、その取引を受けた僕の周りで電話や映画、時計が毎日消えていくわけですが。

丁度ファウストを読んでいた事もあり、現在的に【ヴァージョンアップするとこうなるのかな?】と、比較して本書は感動的なれど、どこかクールであっさりした感じが現代風で面白かった。

また、著者の本は初めて読みましたが。プロデューサーとして大活躍されている方らしい【全体的なバランスの良さ、そして読みやすいポップな文体】が上手いな!と唸らされました。

読みやすい本を探すネコ好きへ。また終活をそろそろ意識する人生の午後世代にもオススメ。

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