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青春は美わし

"青年が数年異郷にいて、それからある日、一応相当なものになって帰って来たとすると、どんなに慎重な親類でも微笑を浮べ、喜んで握手するものである。"1916年発刊の本書は、20世紀ドイツを代表する著者による不器用な青年の心を繊細に描いた青春小説の名作。

個人的にはお盆休み、実家に帰るタイミングで何年かぶりに同じく【故郷に戻る青年を描く】約60ページの本書を思い出し再読してみました。

さて、そんな本書は汽車を使って故郷に戻った青年が駅に出迎えてくれた妹と弟、そして母親の"試験"(青年の近況報告)を終えて実家に過ごし去るまでの数週間、その間に起きるかっての憧れの美少女との再会、新しい出会いで起きる2つの失恋を描いているわけですが。

まず感じたのは、100年以上前の本にも関わらず全く【違和感なく没入できる故郷の懐かしさ】でしょうか。素朴で美しい描写に、まるで青年が自分と同一であるかの様に心情を重ね、追体験するかのように家族や兄弟との再会、そして2回の失恋の場面を感じる事ができました。

また、一緒に収録された『ラテン語学校生』こちらもこちらで、少年が自分勝手な思い込みからの初恋に破れるも【ちょっとだけ大人へと成長する】姿が力強く描かれていて、爽やかな読後感でした。

かっての青春を懐かしく感じる全ての方へ、また故郷に戻る時の旅のお供の一冊としてオススメ。

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