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シェリ

"『もどってくる!もどってくるんだわ!』彼女は腕をふりあげて叫んだ。縦長の鏡のなかで、ひとりの老女が息をはずませながら、彼女と同じ身振りをしていた。レアはふと考えた、この気違い女とあたしは何の関係があるのかしら、と。"1920年発刊の本書はジッドも絶賛の【最も感覚的な女性作家】の最高傑作。

個人的には著者の作品は初めてなのですが。25歳の美しい青年シュリと50歳目前の元高級娼婦レアの恋愛を描いた本作。冒頭からの色彩豊かな描写が魅力的で一気読みしてみました。

さて、そんな本書は出会いから恋愛へ。といった通常の時系列とは違って、既に恋愛関係にある2人のベッドシーンから始まり、青年の突然の結婚話に驚き、表向きは祝福して別れを決心しつつも、心穏やかではいられない。。そんなタイトルとは違って【主にレアの視点で】フラッシュバックしながら語られているのですが。やはり【男性とは違う細やかな心理描写】が素晴らしいと思いました。

また、本書執筆時にまさに50歳で、政治家の妻、小説家、評論家、ジャーナリスト、女優、一児の母と八面六臂の大活躍をしている(スキャンダラスとしても)トップ・レディーであるにも関わらず、義理の息子とただならぬ仲になっていた事を知ると、どうしてもレアと重ねてしまって。【同時代の人たちはどう受け止めたのだろうか?】そんなことにも興味津々でした。

40代から50代の女性の方へ。また年の差あるカップルな方にもオススメか。

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