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うつ病は心の弱さが原因ではない

"うつ病は、科学的な解明が十分に進んでいない分野の代表格です。この本をお読みいただいた皆さんは、このことをおわかりいただけたのではないかと思います。"2021年発刊の本書はうつ病の原因に関する"心の問題派"と"脳の病気派"の大激論をわかりやすいコミックエッセイで描いた良書。

個人的には前作の疲労のメカニズムを明らかにした『疲労ちゃんとストレスさん』が面白かったので手にとりました。

さて、そんな本書では、過労死の最大の原因にしてコロナ禍で拍車がかかっている『うつ病』の原因究明について。【脳内物資のセロトニン不足が原因説は30年前の天動説】つまり明確な誤りである。と断言した上で、最新の研究成果やスピリチュアル分野の影響の大きさ、ヒトゲノム解析の現状を紹介し、さらにはついに発見された【大きなリスクファクターであるウイルス(HHV -6、SITH -I)について】紹介してくれているわけですが。

うつ病で苦しんでいる人に対して流石に精神論的な偏見をもって【頑張れと励ますのは禁句】位は"当たり前の常識"としてもってはいたものの。では【どうやって理解して接するのが正解なのか?】については漠然としたまま放置していた私にとって、本書は(もちろん症状は様々とは言え)補助線的な最新の知識をわかりやすく教えてくれていて、とても勉強になりました。

また本書では前作『疲労ちゃんとストレスさん』の続編として登場人物達も引き続き少しだけ登場し、疲労やストレスがうつ病の原因だから仕事をしない。といった短絡的に結論づけるのではなくて。必要なのは【ここまではOK、ここからはNG】といった線引きをし(むやみに恐れるのではなく)【理にかなった対処をしていく事】と、別々の話ではなく複合的『ひとつながりのテーマ』と強調して終わるのですが、コロナ禍で様々な情報がWEBやSNSで流れては消えて、振り回される現状に共通する指摘だな。と感じました。

うつ病に苦しむ当事者の方はもちろん、大切な家族や友達がうつ病で苦しんでいる人にも。また医学的に最新の研究成果を知識としてわかりやすく知りたい人にもオススメ。

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