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おいしいごはんが食べられますように

"誰でもみんな自分の働き方が正しいと思ってるんだよね、と藤さんが言った。無理せず帰る人も、人一倍頑張る人も、残業しない人もたくさんする人も、自分の仕事のあり方が正解だと思ってるんだよ"2022年発刊、第167回芥川賞受賞作の本書は食べものを通して描かれた人間関係、人間模様。

個人的には帯の"最高に不穏な傑作職場小説!"のキャッチに興味をひかれて手にとりました。

さて、そんな本書は東京本社のほか、全国八の支店があるラベルパッケージ製作会社の地方営業部に所属する"職場でそこそこうまくやっている"二谷"仕事はあまりできなく、よく早退するも皆に守られる"芦川、"仕事ができて頑張り屋"の押尾の3人を中心に、全国の【どこの職場でも日々語られていそうな日々】が、カップ麺や手づくり料理、居酒屋料理と『日常的な食の場面』を中心に描かれているのですが。

物語全体は奇抜さや派手さはなくも、主役たち以外の登場人物の職場での【働き方や在り方もうまく描かれている】ので。何となく【自分を重ねてしまったりして】読み進めつつ、読後には同じく読み終えた人たちと無性に感想を語り合いたくなりました。

また、良くも悪くもコロナ禍も追い風となって、リモートや在宅勤務、副業・複業の定着。と職場外での働き方や生き方が【新しいライフスタイル】的に喧伝され、広がりつつある昨今ですが。まだまだ多くの人にとっては、以前として【職場内の日々=人生の大半】なんだろうなあ。とか複雑に思ったり。

働き方、職場小説好きな方。絶対的な主役がいない物語が好きな方にもオススメ。

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