転生! 太宰治ファイナル コロナで、グッド・バイ
"こんな自分にも、転生したばかりのころは、夢がありました。こんどこそ、芥川賞を手に入れる。転生してからの三年間を、私は、それだけのために使いました。"2021年発刊の本書は現代に転生した太宰治vs(今度は)終わらないコロナ禍"シリーズ最終章。
個人的には、シリーズの一作目、二作目共に面白かったので引き続き手にとってみました。
さて、そんな本書は『二人目』としてプロデュースとして元天才作家、雪尾奈緒子の芥川賞受賞なるか!の前作の続きから始まるかと思いきや、鬱になってコロナ禍、緊急事態宣言下で街中をうろつく太宰治の独白から始まり、ミュージシャンデビューが白紙になって川に飛び込む真弓、太宰治の墓前でラッパーデビューを願う莉菜。と2人の少女と出会って、今度は【MCバトルをしたり、再会からの『ゆるキャン△』】と最早、どこに向かうかわからない展開から、まさかの感動ラスト?へと着地するのですが。
まあ、流石に太宰治が【文学少女をプロデュースして芥川賞を狙う】という当初の展開は【前ニ作で煮詰まり感があったので】披露される文学ネタはそのままに、今回の【パリピなあの軍師】をどうしても彷彿させる序盤展開は、これはこれで?と楽しませていただきました。
また、中盤からラストにかけて。長峰乃々子、雪尾奈緒子と本書の【太宰治なりにあらためて向き合って】それぞれの人生へ向かっていく展開も【どこかのストレイトな作品】みたいに、転生しても特別な異能力があるわけではないので、地味ではあるも納得かな。と感じました。(しかし、佐藤友哉。自由すぎる)
肩の力を抜いた太宰治二次創作物を読みたい方へ。またコロナ禍の自粛生活を振り返りたい方にもオススメ。
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