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四畳半王国見聞録

‪"今この桜の下で君たちに出逢えたことを、阿呆神に感謝する。皆さんコンニチワ、世界よコンニチワ。諸君に乾杯、四畳半に乾杯。ありがとう"2011年発表の本書は著者の他作品の人物が多数登場してくるファンには嬉しい『四畳半神話体系』のスピンオフ連作短編集。‬

個人的には来月に京都で企画している森見登美彦作品読書会の準備として、また今月に久しぶりに発売される新作続編『四畳半タイムマシンブルース』の予習として手にとりました。

さて、そんな本書では『四畳半神話体系』のメンツはもちろん、『【新釈】走れメロス 他四篇』『有頂天家族』『恋文の技術』からどうやら登場人物や設定がもってこられる感じで、相変わらず【無駄に高い男汁濃度(褒めてます)】で、シュレディンガー方程式にあえなく敗北した面々が四畳半だ!水玉模様ブリーフだ!と【有意義とは程遠い学生生活(褒めてます)】をしている姿が7章の短編で描かれているわけですが。

『四畳半神話体系』や他作品を読んでいないと、流石に【初見の方は濃すぎて作中世界に入り込みにくいのではないか?】と思ったりしましたが、逆に私に関してはそのあたりはクリアしていたので、ファンサービス的にとても楽しませていただきました。

一方で本書では特殊な能力を持ちながらあえて『凡人を目指す非凡人の集い』大日本凡人會の面々が登場するのですが、運命の女性をフェルマーの最終定理よろしく数式で導きだそうとする"数学氏"他(本人たちの妄想かもしれませんが)割と【直接的な異能力者たちが登場するのは、ちょっと意外】というか、このシリーズぽくはないような印象を受けました。(ま、それも含めてヘタレ学生の日々を愛でるような作品なので、ありといえばありなのですが)

京都で有意義とは程遠い不毛(で楽しかった)学生時代を過ごしたかっての学生へ。また『四畳半神話体系』や森見登美彦のファンの方にもオススメ。

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