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"『あたしもよ。あなたに求めていたのは、お金だけ』ダラムはしばらく無言だったが、闇の中で目と歯が光るのが見えた。微笑んでいるらしい。『それでかまわない。わたしがあなたに求めたのは、魂だけだ』"1994年発刊の本書は塵理論をテーマに【意識と存在問題】を仮想現実、人工知能、人工生命、ネットワークなどを題材にダイナミックに描いた電脳SF。

個人的には某漫画「バーナード嬢曰く」の『グレッグ・イーガンは多少よくわからなくても すっっごくおもしろい!!』というセリフが著者作品の全般的な魅力を本当によく伝えていると思うのですが(笑)『宇宙消失』に次ぐ2冊目として手にとりました。

さて、そんな本書は【人間の意識コピーをコンピュータ内に再現することが可能になった】近未来世界を描いているのですが、2019年のアニメ映画『HELLO WORLD』には明確に、そしてTVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』にも影響を与えてるのでは?と思われる類似のギミックや設定が随所に見られる所に【20年以上前の作品とは思えない未来を先取りした感】これぞハードSFの醍醐味!と、ぐっときてしまった。

また塵理論ー塵に例えられるような『真にランダムな数字の十分に大きな集合』があれば、存在しうるすべての数値表現が含まれている。つまり完璧なシュミレーションが再現できる?は、すいません。バーナード嬢の前置きどおり【多少よくわからなかったのですが】それでも、上巻は登場人物たちの説明を丁寧に描きつつミステリー仕立てに展開し、下巻では『相変わらず』著者らしく【えー、そこまでスケールがでかくなるのか!】と加速して混乱を与えてくれる本書。意外にクセになってしまいます。

SF好きはもちろん、仕事でプログラミングなどに関わっている誰か、VRやAIの進化で『訪れるかもしれない』近未来に興味ある人にもオススメ。

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