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淀川八景

"快晴で、空は広々と青く、淀川の水面もきらめいている。バーベキューなんて何年ぶりだろう。淀川の河川敷にやって来ること自体、かなり久しぶりな気がした。"2019年発刊の本書は大阪出身の著者による淀川が舞台に必ず登場する8話、8通りのほろ苦い短編集。

個人的には、今も運営するお店の近くとして、また以前の住所近くと馴染み深い淀川が舞台というのに惹かれて手にとりました。

さて、そんな本書はタイトルや表紙イラスト通りに【淀川沿いが必ず作中に登場する】形で、家族との再会や別れ、婚活話、ペットロス、青春やいじめ話といった各30ページの8通りの重なることのない『それぞれの物語』が収録されているわけですが。

著者の作品は初めて読みましたが、大阪出身ということでの自然な登場人物たちの大阪弁は心地良く、その一方で【川の流れとも重なるような】やり直すことができない過去と向き合うような作品が割と多く。なめらかに読みやすくも【決してハッピーエンドとも言えない】苦い作品が多いのが印象的でした。

また本書は私立中学の入試問題に出題されるなど【模擬試験や教材としての引用も多い】らしいのですが。確かに(小説ではなくも)短編映画の脚本づくりもしている私でも【参考になるような自然な展開が多く】勉強になりました。

大阪、淀川を舞台にした作品として。また短編小説を書いている方にもお手本的にオススメ。

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