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イラストで学ぶ京都の文化財―建築・庭園・仏像・絵画の基本知識

"『文化財』をつぶさに拝見して、その背後に秘められたドラマに思いを馳せる、そのためには文化財について、できるだけ多くの知識を持つことが必要となります。"2009年発刊の本書は京都府の文化財をあえてイラスト化、建築・庭園・仏像・絵画の基本知識をコンパクトにまとめている良書。

個人的には縁あって京都に移住、当たり前に豊富にある重要文化財や国宝に触れる機会があるにも関わらず、まだまだ勉強不足であることを実感していることから本書も手にとりました。

さて、そんな本書は『重要文化財』は全国の18パーセント近く、『国宝』に至っては20パーセントを占める京都府の文化財を【写真ではうっかり見過ごしてしまう】と、醍醐寺の"京都府最古の"五重塔から浄瑠璃寺の吉祥天立寺まで36。あえてイラスト化して第一部で紹介した後、第二部では補足説明的に社寺文化財を中心に、建築・庭園・美術・工芸などの分野別に、文化財の基礎知識を簡潔な文章で解説してくれているわけですが。

まず、前述した様に意図的に建築図面の様にシンプルなイラスト化された事で、写真の方が情報量的には視覚的、観光的には見応えありそうだとしても『文化財』としての価値【意匠や技術的に優れている、あるいは歴史や学術的に価値が高い】に関しては、こちらの方が【くっきりと強調されている】感覚があって、新鮮さと共に非常に勉強になりました。

また二部における解説、例えば寺院における伽藍(建物)配置の変遷、そして屋根や天井といった各部の歴史。また日本庭園歴史や構造については全く勉強不足な部分だったので、終始うなずくばかりで。こうした『知識』もあったら、確かに『重要文化財』『国宝』といった名前で単にありがたがるだけでなく、その【意味合いや素晴らしさ】を自分が楽しめるだけでなく、【周りにちゃんと語り継げる】のだろうな。と感じました。

京都に限らず『文化財』『国宝』を何となくではなく『ちゃんと学びたい方』の入門書として。また変化球的な京都ガイドブックとしてもオススメ。

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