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プラテーロとわたし

"プラテーロよ、おまえは昔、孤独だった。だが過去は、これ以上おまえに何を与えるだろうか?"ノーベル賞受賞の詩人である著者が散文詩形式で丁寧に描写するスペインの田舎、そして愛する驢馬プラテーロの四季における姿は、どこから読んでも、何度読んでも。果てしなく美しく優しい。‬

個人的には、江國香織の著作での紹介や、朗読等で本書の存在は知っていましたが、ようやく今回手にとって読むことができました。小さくて、ふんわりした銀色の驢馬であるプラテーロに絶え間なく詩人が語り続ける形式で進行する本書は、ある意味で偏った一方通行の一人視点でのみ世界が語られているわけですが。それでも(作中で著者自身が述べているように)安易に擬人化してプラテーロに人間の様に語らせたりしていない事が、かえって美しく優しい言葉の数々から読者自身に【イメージを補い膨らませる】余地を与えてくれていて、この本自体に稀有な存在感を与えているように感じました。

驢馬に限らず動物好きな誰かや、愛車やお掃除ロボットに名前をつけてしまってしまう誰かに。はたまた辛いことがあったりで、とにかく美しく優しい言葉の世界に飛び込みたい誰かにオススメ。

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