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55歳からのハローライフ

‪"五人の主人公は、『悠々自適層』『中間層』『困窮層』それらを代表する人物を設定した。だが、すべての層に共通することもある。それは、その人物が、それまでの人生で、どんな信頼関係を築いてきたかということだ。"2012年発刊の本書は、人生の午後世代におくるサバイバル連作中篇小説‬。

個人的には、50代も射程に入ってきた中『完璧な老後などといったものは存在しない。完璧な死が存在しないようにね』(村上"春樹"風)と、ドラマ化もされた本書を手にとりました。

さて、そんな本書では経済的格差を伴って益々多様化している老後について【経済的にも万全でなく、体力的に折に触れて老いを意識せざるを得ない】『普通の人々』が作中人物に設定され、再婚を考えて結婚相談所に通う女性、リストラ社員とホームレスになった同級生、キャンピングカーを買おうとして家族に反発される男性、ペットロスに介護。と、それぞれに悩む姿、そこからの再生が描かれているのですが。

聞こえてくる【コロナ禍によるリストラ話】など、ますます先行きが不安になっている現在、エピソードの1つ1つが【自分もいつ直面するかわからない】リアリティを伴って迫ってくるような印象があって、面白い?というよりただひたすらに重く辛かった。

一方で、私話で恐縮ですが。率直に言って(お恥ずかしながら)人づきあいが良いわけでもなく、必然的に友人も少ないことから。それでも必ず訪れる老後を『孤立ではなく充実した孤独』にして過ごすにはどうしたら良いか?と自分ごとにして考え、【結局は読書をして堪える】"本を読んで、誰かにすすめる"時間を相変わらずしているのだろうな。そんな自分なりの結論を本書から導き出していたり。

人生の折り返し地点を迎えている誰か。また老後について。立ち竦んでしまっている方にもオススメ。

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