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かがみの孤城

"どうしてかわからない。けれど、ずっとこの時を待っていた気がする。腕に、強く引っ張られるようないつもの、あの痛みが蘇る。"2017年発刊の本書は本屋大賞他多数の賞を受賞作にして舞台化も決まった、生きづらさを抱えている全ての人に贈るミステリ傑作。

個人的には周囲の評価の高さに気になりつつ文庫化を待っていたのですが。待ちきれずに手にとりました。

そんな本書はある原因で不登校になってしまった主人公の女の子、こころを含めた7人の"ある共通点を持つ"子どもたちが、ある日突然光だした鏡に触れた先にある城の中に集められ"願いの部屋"に入る鍵探しを"オオカミさま"から依頼されるわけですが。

前情報抜きに読み始めた当初は最近よくあるパターンの【ある条件下での謎解き脱出ゲーム】的に7人の間で【お互いに騙し合いや駆け引きが始まるのかな?】と思ったら、7人それぞれが(少なくとも他の人の前では)全く鍵探しに積極的ではなく、むしろ一緒にゲームをし始めたり、お茶会をしたりと【期限ギリギリまで楽しく過ごそうとする】のに驚きました。

一方で、中盤から終わりまでの様々な7人それぞれに【散りばめられたパーツがきっちりはまる】かのような回収される怒涛の展開には見事に引き込まれる部分があり、あたたかい気持ちにさせてくれるラストまで楽しませていただきました。

いきづらさを感じている10代、あるいは子育て世代の方に。また少年少女たちの演劇的な物語が好きな人にもオススメ。

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