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開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU

"『あるべき答はわかっている。どういう状態になろうと、大切だ。そう答えれば、世間は満足するだろう。だが、私はそういう事態になってみなければ、自分の気持ちがどう動くか、わからん。不憫で愛おしく感じるか、それとも逆か』"2011年発表の本書は第12回ミステリ大賞受賞作にして、緻密な設定に裏付けられた極上のエンタメ作品。

個人的にはあまりミステリを読まないのですが、『メタルギア ソリッド』シリーズで知られるクリエイターの小島秀夫が紹介、絶賛していた事から興味を持って手にとりました。

さて、そんな本書は18世紀ロンドンを舞台に、外科医ダニエル(と住み込み弟子たち)の解剖教室にあるはずのない屍体が発見されるところから物語が二転三転していくわけですが。ミステリとしての謎解きの前に関心したのは【時代設定としてのロンドンの都市の描写】当時の政治状況から風俗まで丁寧に解説されていて、流石の大ベテラン作家らしさを感じました。

また、その上でミステリとしても文句なしに面白く、約500ページと割とぶ厚めの作品ですが、ほとんど無駄なく、また途中で中だるみすることなく(ユーモアを交えつつ)【疾走しながら伏線回収していく】映像的な気持ち良さがあって、それにラストのまとめ方の巧さも加わり、これは確かにミステリ大賞受賞は納得だな!ミステリ初心者の私でも思ってしまう読後感でした。(続編も手を出そうかな。。)

レベルの高いミステリ、エンタメ作品を探す方へ、またBL要素のある作品好きな方な貴女にもオススメ。

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