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森見登美彦の京都ぐるぐる案内

"『よくよく考えると、ぜんぶ京都なのだな』と登美彦氏は考えた。『源氏物語も平家物語も今昔物語も、ぜんぶご近所のお話なのだな』怪異が似合うのは現代の京都も同じであって、いつも登美彦氏は『横町の神秘』を想う。"2011年発刊の本書は著者作の名シーン引用と写真でおくる京都ガイド。

個人的には月1京都『豆本と文学バー』吉羊こけしの運営に関わっていることからネタ本的に、またそれでなくても著者ファンの1人であることから興味を持って手にとりました。

さて、そんな本書は『四畳半神話体系』『夜は短し歩けよ乙女』『有頂天家族』『太陽の塔』『きつねのはなし』といった各作品のセリフの引用とサカネユキの写真で巡る鴨川デルタ、下鴨神社、京都大学、大文字山、琵琶湖疎水といった京都案内になっているのですが。

良くも悪くも、それぞれ超有名スポットかつ日常的に訪れることができる場所案内になっているので、【何かの都合で近くを訪れた時にふっと思い出す】そんな使い勝手の良さと、ディープな案内を勝手に期待してしまった身としては、ちょっと肩すかしの様な読後感でした。(『横町の神秘』としては正しく思いますが)

一方で、著者自身も写真に登場しての随筆二篇は、それぞれに【人柄を感じさせるようなほのぼのとしたもので】こちらはこちらでファンとして楽しめる部分があり癒されました。

著者作品のファン、または手軽かつ『異化的な』京都文学観光ガイドを探す人にもオススメ。

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