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四畳半タイムマシンブルース

"一般に夏は人間成長の季節であると言われている。男子ひと夏会わざれば刮目して見よ!ひと皮剥けた自分を級友たちに見せびらかす栄光の瞬間を手に入れるためには、綿密な計画、早寝早起き、肉体的鍛錬、学問への精進が不可欠なのである。"2020年発刊の本書は待望の続編にして戯曲的な一冊。

個人的には、前作となる著者の『四畳半神話体系』はもちろん、本書のコラボ原案となるヨーロッパ企画、上田誠の『サマータイムマシン・ブルース』も好きな事から手にとりました。

さて、そんな本書は『四畳半神話体系』の私、小津、明石さん、樋口師匠、羽貫さん、城ヶ崎、相島といったいつもの面々が引き続き登場し、今度はド◯えもんのタイムマシーンみたいな乗り物を使ってタイムトラベルどたばたを繰り広げるわけですが。

『サマータイムマシン・ブルース』のシナリオだけでなく【セリフまで割と忠実に再現している】のに、良くも悪くも驚きました。なのでまるで、『サマータイムマシン・ブルース』自体を『四畳半神話体系』の登場人物が演じているかのような読後感があって、両作品を知る人、知らない人で印象はだいぶと変わるように思われました。(私には田村が最早、本多力しかイメージ浮かばず)

一方で『サマータイムマシン・ブルース』『四畳半神話体系』の相性の良さというか、どちらもそもそも『大学生の不毛な青春、日常』を描いているので【あまりの自然な溶け込み感、フィット感】にはやはりニヤリとしてしまう感じがあって、アニメ化の都度タッグを組む事が続いている両原作者の仲の良さも伺えて良かったように思いました。

森見登美彦、上田誠ファンはもちろん、とにかく『四畳半神話体系』が好きな人、タイムトラベルものが好きな人にオススメ。

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