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欲望という名の電車

"(医師の腕にしっかりすがって)どなたかは存じませんがー私はいつも見ず知らずのかたのご親切にすがって生きてきましたの。"1947年ブロードウェイ初演の本書は、保守的だった当時のアメリカ社会において同性愛、少年愛、レイプといった衝撃的な内容で話題をさらった演劇史上の名作。

個人的には、映像作品の脚本も書いていることから、ピューリッツァー賞受賞で評価の高い本作を勉強がてらに手にとりました。

さて、そんな本書はアメリカ南部の大農園の娘から不幸と(おそらく散財により)身を持ち崩したブランチが妹のステラとその粗野な夫、スタンリーのもとに身を寄せるところから始まるのですが。

演劇だからある意味当たり前なのですが。【メリハリの効いた、また映像が瞼に浮かんでくるような描写】がまさに舞台を追体験させてくれているようで、とても良かったです。

一方で、物語としてはブランチに全く救いがないので、登場人物の中では【それでも人は自分だけの物語を求めてしまう】と一番に感情移入していたこともあり、とてもラストは辛かったです。

近代演劇史上の名作として。また何かしらの物語をプロデュースしている人にオススメ。

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