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人生の短さについて

"われわれが手にしている時間は、決して短くはない。むしろ、われわれがたくさんの時間を浪費しているのだ。"48年発表の表題作を含む本書はローマ皇帝ネロの家庭教師としても知られるストア派哲学者の著者による人生や仕事。友人や財産との付き合い方を助言した普遍的な処方箋的一冊。

個人的には、人生の午後世代。残された時間をどうやって過ごすか的な事を考えたいと思い本書を手にとりました。

さて、そんな本書は表題作の『人生の短さについて』では、一言で言えば"人生は短いのではなく、浪費している事が多い"から【他者に人生を振り回されずに、やるべき事をやれ】と。また追放された時期に流刑地から母にあてた『母ヘルウィアへのなぐさめ』では母に向けたアドヴィイスとして【学問と愛する人達を頼れ】と。最後の『心の安定について』では、仕事においては【自分自身や仕事自体、誰と一緒にするかを考えるべきだ】などと述べているのですが。

まず、最初に感じたのは。何百年たっても【人の本質や悩みは変わらない】という事でしょうか。著者自身はもちろん、母親や、友人の気持ちや悩みが全く古臭くなく、現在にも様々な場面において同じように適用されてしまうのに驚きすら感じてしまいます。

一方で"感性を理性のくびきから解放し、強制力からも解放させよう"とした『エピクロス派』に対する『ストア派』-【理性で情念や快楽を抑えつけ、強制力に従おう】つまり圧倒的に『私は私だ』と死すべき存在としての自分を受け入れた上で【ストイックに自分と向き合う姿】は共感する部分もあれば、見方によっては滑稽に映る部分もあり、心配してくれる母親を(私は問題ありませんと)逆説教するのは面白いな。とも不謹慎かもしれませんが思いました。

他人に自分の時間を奪われているように感じる人へ。またストア派の考え方について、具体的に知りたい方にもオススメ。

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