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方法序説

"理性はやはり私どもに言う、私どもはそっくり完全なわけではないから、私どもの思想はそっくり真ではありえない(中略)むしろ私どもが目覚めながらの思想のうちに見出されねばならぬと"1637年発刊の本書は、著者の方法論や刊行に至るまでの経緯を述べた大著の序文にして『我思う、ゆえに我あり』近代精神を広く確立した一冊。

個人的には【良識(bon sens)はこの世でもっとも公平に配分されているものである】という書き出しで始まる6部に分類された約90ページの本文に対して、約130ページの訳注が掲載された本書。やや慎重というかクドイ言いまわしには少々読むのに手こずりましたが、それでも。思想の独創性や新しさではなく【自ら導き出すプロセスこそが大切である】という方法的懐疑から導き出された言葉は、ビジネスパーソンの1人として響く所がありました。

また先ほどクドイと書きましたが、中世スコラ学により『神だけが真理を知っている』とされる時代、また『天文学の父』ガリレオ・ガリレイが地動説を口実に異端審問で追及された時代に【理性で考えれば誰もが到達できる普遍的な真理があるはすだ!】と、当時のエリート向けラテン語ではなく、あえて当時の女性や子供でも広く読めるようにフランス語で、また偽名にて発表された本書。例え後年にニーチェに考えを批判されたとしても【先駆的な時代のイノベーターとして】素晴らしいと思いました。

有名な『我思う、ゆえに我あり』という言葉をちょっと深く知りたい誰か、あるいは自ら学ぶ姿勢に刺激を受けたい誰かにもオススメ。

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