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お気に召すまま

"全世界が一つの舞台、そこでは男女を問わぬ、人間はすべて役者に過ぎない。それぞれ出があり、引込みあり、しかも一人一人が生涯に色々な役を演じ分けるのだ。"1603年初演の本書は、原作をより感情豊かな台詞回し、テンポの良さで戯曲化し繰り広げられる『恋』をテーマにした名作喜劇。

個人的には著者の作品は、いわゆる『四大悲劇』しか読んでいなかったので、ハッピーエンド喜劇も読んでみよう。と手にとりました。

そんな本書は兄に不当に扱われている事に不満を抱えているオーランドー、簒奪者の叔父から男装して逃げだすロザリンドと叔父の娘シーリアがそれぞれにアーディンの森に向かうのですが。そこで追放されるも牧歌的に生活をしている老公爵たちと交流する中で、紆余曲折を経るも最終的には複数のカップルが誕生し、大団円で終わるわけですが。

まず最初に受けた印象は【冒頭とラストの早送りするかのような展開の早さ】でしょうか。窮屈な宮廷生活とは対照的に【自由で開放的な理想郷】として描かれる森の中でのやりとりがメインの『戯曲』とはいえ、何となく同じスピードで流れていくような読書に慣れていた私は【登場人物たちが恋におちる早さ】も含めてちょっとびっくりしました。

一方で、主役の二人。男装して逃げだすも隠れるというより、ちゃっかり【持ち出したお金で牧場経営をして暮らす】したたかなロザリンド、腕っ節は強いも(作中ではあまり見せ場もなく)好きなロザリンドへの【ポエムを森に吊るしまくる】恋にはヘタレのオーランドーといった登場人物たちの個性あふれる魅力は充分に伝わってきて、流石に好きな女性と"恋の告白練習"として何度も会ってたら男装してても気付くでしょ!てか、気づけよオーランドー!(笑)とか思いつつも楽しませていただきました。

名作喜劇として、また『人生の一休み』的な理想郷を描いた作品を探す人へオススメ。

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