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20の古典で読み解く世界史

"かくして、『重厚な読書経験を刻みこむ古典』と『人類の経験が圧縮された世界史』により『教養』は培われる、と筆者は確信しています。2021年発刊の本書は教養教育に長く携わってきたローマ史研究者による誰もが名前を知る古典文学を『歴史』として語る。知的刺激に溢れた一冊。

個人的には、これまで主に世界文学古典の読書会を主宰してきた事から、より作品理解を高めようと本書を手にとりました。

さて、そんな本書は前述の通り世界史、特にローマ史研究の第一人者の著者が20の世界文学古典。イリアス/オデュッセイア、史記列伝、英雄伝、三国志演義、神曲、デカメロン、ドン・キホーテ、アラビアンナイト、ハムレット、ロビンソン・クルーソー、ファウスト、ゴリオ爺さん、大いなる遺産、戦争と平和、カラマーゾフの兄弟、夜明け前、山猫、阿Q正伝、武器よさらば、ペストを【時系列に沿って、作品のあらすじ紹介、世界史研究視点での解説】をしてくれているわけですが。

紹介されている20の作品中、約半分は【読書会の課題図書として読み込んでいましたが】それでも文学作品としての表現、文学史上での位置付けだけではなく【世界史としての著者の俯瞰的な解説】一例を挙げると『発表当時の社会状況』などの視点は非常に勉強になりました。

また、もちろん名前こそ知ってはいるも未読の作品たち。例えば『アラビアンナイト』千一夜物語が、フランス人東洋学者の先入観『名前どおりに全部で千一夜ぶんあったはず』といったところから、見つからなかった写本のかわりに【勝手に『民間伝承』をかき集めて、続編として出版していった】といった話や。また、その『民間伝承』の中でも有名な『アラジンと魔法のランプ』の【舞台が中国であり、もちろんアラジンも中国人少年であった】というのにも、数年前にディズニーの同名ミュージカル映画を観た記憶があったので、え〜!とびっくりしました。

世界文学古典好きはもちろん、歴史好きな方にもオススメ。またタイトルはもちろん知っているも未読なまま、積読になっている方の読書を始めるきっかけとしてもオススメ。

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