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ロンドンで本を読む 最高の書評による読書案内

"そしてこれが本当の書評の藝である(中略)大事なのは、読むに価する重要な本の重要性を、普通の読書に向けてすっきりと語ることなのである"『ユリシーズ』の翻訳にも携わった著者がロンドンが発行元の新聞雑誌の書評集を集めて2001年発刊した本書は【書評の豊かさ、文学としての可能性】を伝えてくれています。

個人的には『ニッポンの書評』の著者にして書評家の豊﨑由美が推していた事、また日々レビューというより【読書感想文】を書き記していることから勉強になれば。と本書を手にとりました。


さて、本書では日本と比較して文量自体も多く、しっかりした【批評性や勘どころはきっちりと押さえている】とされる現代イギリス書評選集として『存在の耐えられない軽さ』『シャーロックホームズ全集』『日のなごり』『失われた時を求めて』『ユリシーズ』『ロリータ』『ライ麦畑でつかまえて』など傑作、名作21冊の書評を【そのまま翻訳(また訳者陣が豪華)掲載する】と共に、英文学者としての著者の視線も交えて解説を加えてくれているわけですが。

読んだ本に関してはその【深い考察や英国らしい?洒落た言いまわしに驚きと楽しさを】読んでない本でも単なる紹介文にとどまらない【書評自体の独立した文学性の高さ】に驚きを超えて、ひたすらに"上手いな〜"とワクワクさせていただきました。

また、本書では紫式部『源氏物語』村上春樹『象の消滅』といった多くの日本人にも馴染みの深い作家・作品についての書評も紹介されているわけですが【日本のプルースト、ジェイン・オースティン】と紫式部が評価されていることには、同国人としてちょっとした嬉しさを、村上春樹のカルト的な魅力や【ぜったいに答えや慰めを与えようとしない】という見方には新鮮さをそれぞれに感じて、こちらも様々な感情を起こさせていただきました。(しかし書評集の書評を書くって、何とも複雑な心境)

SNSなどで日々ブックレビューをあげている誰かへ。また前述の傑作、名作がロンドンの新聞では【どのように評されたか?】に関心のある誰かにオススメ。

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